〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-3-12 バンセイ室町ビル2F
【診療時間】月〜金 10:00-14:00/15:00-18:30
      土 10:00-13:00/14:00-17:00
【休診日】日曜・祝日

お電話でのご予約は


※お急ぎの方はお電話ください。

  • TOP >  
  • ブログ

ブログ一覧

神田デンタルケアクリニックからのお知らせ

オールセラミッククラウンによる歯の変色と歯列不正の改善

歯列不正がある場合、治療法の第一選択は歯列矯正です。

健康な歯を削って歯並びをきれいにするセラミック矯正もありますが、健康な歯を削ると将来虫歯や破折を生じるリスクが高くなります。

しかし、すでに歯髄(しずい:歯の神経)が取ってあり、歯の色や歯並びに問題がある場合には、セラミッククラウンによる改善が有効です。

 

治療前口腔内。上顎中切歯の変色および歯並びの改善を希望して来院。左右の中切歯はすでに根管治療がしてあり、茶褐色の変色および舌側(内側)への傾斜ならびに捻転(ねんてん:捻じれ)を認める。オールセラミッククラウンによって、変色と歯列不正の改善を図ることとした。

 

治療後。長年の悩みであった歯の変色及び歯列不正が改善した。上顎前歯部の審美性は、しばしば顔の表情さえも劇的に変化させる。

的確に歯肉圧排ならびに印象採得を行うことによって、非常に適合の良いオールセラミッククラウンが装着された。歯肉との調和も良くとれている。

 

治療計画を立てる際は、最も歯への侵襲が少なく歯が長く持つ方法を検討します。

歯の色や歯並びがきれいになったとしても、治療を行うことで歯の寿命が短くなるような治療計画は得策ではありません。

治療によっては、メリットだけではなくデメリットが存在することがあります。

治療前に担当の先生とよくご相談され、ご自身にとって最適な治療をお受けになることをお勧めいたします。

 

治療費用:オールセラミッククラウン¥132,000/1歯

治療期間:3週間

治療上のリスク:失活歯(神経の無い歯)やセラミッククラウンは硬いものを噛むと欠けるリスクがあります。

 

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

根管治療ははじめが肝心~歯医者は何でもっとよく説明してくれないのか?~

一度根管治療を受けた歯が、しばらくして痛くなるケースは少なくありません。

そのほとんどが、正しく根管治療が行われていないことに起因しています。

根管治療を受けたほとんどの方が、歯が痛むあるいは検診で虫歯が見つかり、虫歯治療の延長で根管治療を受けたと思います。

根管治療が虫歯治療よりも遥かに難易度が高い治療であることを、多くの患者さんはご存じありません。

「虫歯が深いので神経を取らないとダメですね」という一言だけで根管治療を受けることが多いのではないでしょうか?

どのような治療であっても、治療上のリスクや偶発症が存在します。

では、具体的にどのようなリスクや偶発症があるのでしょうか?

当院で根管治療を行う際には、以下のようなリスクおよび偶発症の説明を行い、同意書にサインをいただいています。

 

【根管治療における偶発症】

□治療の過程で、一時的に腫れや痛みが生じることがあります。

□根の中は非常に複雑な形をしており、治療器具の破折や根管内への残存が生じることがあります。

□歯根にクラック(ひび割れ)や大きなパーフォレーション(穿孔)がある場合には、基本的に抜歯の適応になります。

□根管治療を行っても治癒しない場合、外科的歯内療法や抜歯の適応になることがあります。

□ご予約が守られない場合、治療効果が出ないことがあります。

□根管治療終了後は、すみやかに修復処置に移行してください。

□根管治療の治療費は成功報酬ではないため、予後の良否に関わらずご返金する

ことはできません。

 

これらのことを事前に個別にご説明し、質問を受け、ご了承をいただいてから治療を行うようにしています。

歯科医師側からしてみると、上記の内容は当然起こり得るであろうことを前提に根管治療を行っています。

しかし、患者側からしてみれば、治療の結果が良好な場合は問題ないものの、予後が悪く、歯茎が腫れたり抜歯しかないと言われてはじめて根管治療がどのような治療であるかを調べるのではないでしょうか?

 

初診時レントゲン。右下の第一大臼歯に強い痛みを訴えて来院。すでに根管治療および補綴治療が行ってある。根管治療は行われているもの不十分であり、根尖部には黒いレントゲン透過像を認める。

初診時CT画像。根尖部には明らかな黒い根尖病巣を認める(黄⇒)。痛みが強い時の治療は麻酔が効きにくい上、再治療は治療時間がかかり、患者さんはしばしば苦痛を感じる。

 

根管充填時レントゲン。疼痛および頬部の腫脹が改善したため、根管充填を行った。根尖部まで緊密に根管充填されているのが分かる。

根管充填時CT画像。再根管治療は時間がかかるため、その間に炎症が進行し、歯槽骨の吸収が進んでしまった(黄⇒)。患者さんはとても辛い時間を過ごしたであろうことが伺える。

 

根管治療1年後。根尖部のレントゲン透過像はかなり縮小して治癒している。

同CT画像。広がりを見せていた根尖病巣は治癒し、歯槽骨が良好に再生している。

 

医療は極めて専門的であり、医師と患者でもつ情報の非対称性のため、相互理解に大きな乖離が生じています。

これを極力なくし、理解の共有を図ることが、医療を行う上で最も大切なことであると私は考えています。

歯科の保険治療の決定的な欠点は、この相互理解、情報共有を術前に十分に行う時間的余裕が無い点が挙げられます。

歯科と医科では、単位時間当たりに診察治療できる患者数に大きな隔たりがあります。

例えば、内科や耳鼻科、眼科、整形外科などを受診すると、医師が実際に診察治療を行う時間はほんの数分、もしかすると1分にも満たないかもしれません。コメディカルスタッフが多くの診療介助や説明を行っていると思います。

しかし、歯科においては、治療のほとんどは歯科医師にしかできない外科処置(削る、抜く、詰める、被せるなど)であり、一般的な治療を行う場合少なくても15~30程度の時間は必要になります。

この限られた時間では、できる歯科治療には限界があります。

そしてこの時間の中で相互理解を深め、情報共有まで行うことが極めて困難であることは想像に難しくないでしょう。

医療で最も重要なことは、患者と医師の相互理解ではないでしょうか。

 

治療費用:精密根管治療¥99,000/1歯

治療期間:1カ月

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。

デンタルリテラシーを高めるブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

差し歯の付け根の変色の治療~ブラックマージンが気になったら~

歯肉は年齢とともに徐々に退縮をしていきます。

若い時に入れた前歯のセラミッククラウンも、入れた当時はきれいでも、歯肉が退縮を起こすことで徐々に歯根が露出し、審美的な問題を生じるようになります。

虫歯による変色でなければ、緊急性がないので必ず治療しなければならないわけではありません。

しかし、上顎前歯はやはり人目に付きやすいため、再治療を希望される方は多いでしょう。

 

治療前。メタルセラミッククラウンを入れてからかなり時間が経っているため、歯肉の退縮が起こり審美的に問題を生じている(ブラックマージン)。人目を気にせず歯を見せて笑うことは出来ない。

 

治療後。オールセラミッククラウンにて再治療を行った。歯肉との調和もとれ、自然な仕上がりになっている。

 

より綺麗な状態を長持ちさせる秘訣は、セラミック治療の前に正しいブラッシングの方法を身につけ、歯周病を改善し健康な歯肉の状態にすることです。

歯肉の状態が良くないままセラミックを入れると、治療後早期に歯肉の退縮が起こる可能性があります。

また、精密でフィットの良いセラミッククラウンを製作するには、的確な歯肉圧排とシリコンでの精密な印象採得(型取り)を行うことも重要です。

前歯の審美的な改善をお考えの方は、経験豊富な歯科医院でご相談されると良いでしょう。

治療費:オールセラミッククラウン¥132,000/1歯

治療期間:3週間

治療上のリスク:セラミックは硬いものを噛むと破折するリスクがあります。また、歯ぎしりや食いしばりのある方もセラミックが破折するリスクがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

外傷による歯冠歯根破折歯の外科的挺出による保存法

上顎前歯は、外傷で最も受傷頻度が多い部位です。

スポーツや転倒、事故により、顔面および前歯部を強打することで、上顎前歯の歯冠・歯根の破折や脱臼を生じるケースは非常に多いです。

歯の脱臼では、可能な限り早期に再植・固定をすることで歯の保存を図ります。しかしながら、完全脱臼(完全に抜け落ちてしまったもの)では将来歯根吸収を起こす可能性が極めて高いです。

亜脱臼(歯の位置異常、ずれ)では、歯根膜の血流が完全に途絶えないため、将来的な歯根吸収の可能性はあるものの、比較的良好に経過するものも少なくありません。

脱臼に対して、歯冠や歯根の破折の頻度はとても多いです。

スポーツ、転倒、事故以外にも、誤ってお箸やスプーンを噛む、お子さんの頭がぶつかった等、日常生活で受傷することもあります。

 

歯冠破折では、その受傷範囲によって治療法が異なります。

小さく欠けた程度であればコンポジットレジンを充填するだけで問題ないことが多いでしょう。審美的に問題を生じるようであれば補綴治療(ほてつ:被せること)を行うこともあります。

歯髄(神経)に達するものでは根管治療および補綴治療を行うことが一般的です。

 

一方、歯根破折の場合には、抜歯が必要になることが少なくありません。

歯根が歯槽骨の中で破折している場合、通常補綴治療を行うことは出来ません。

歯肉や歯槽骨などの歯周組織を健全に保つためには、3㎜程度健康な歯質が歯槽骨頂部よりも出ていなければならないためです。(専門的にはバイオロジック・ウィズ:生物学的幅径という。生物学的幅径は、約1㎜の上皮性付着、結合組織性付着、歯肉溝の合計3㎜で構成される)

生物学的幅径が確保されていない場合、歯や歯肉の痛みや違和感、咬合痛、歯肉の腫脹や出血などの炎症が生じます。

このため、歯根破折では歯の保存が困難になります。

しかしながら、そのような破折歯でも生物学的幅径を確保する方法が3つあります。

矯正的挺出、外科的挺出、歯冠長延長術です。

矯正的挺出は、矯正力で歯根を骨から引っ張り出す方法であるのに対し、外科的挺出は歯を脱臼させて骨から引き出す方法です。

外科的挺出に比べ矯正的挺出の方がマイルドで歯に優しく、歯根吸収のリスクがほとんどないため、可能であれば矯正的提出を図るのが一般的です。

ただし、条件によっては矯正的挺出を図ることが困難な場合もあります。

この場合は、次善の策として外科的提出を図ります。

歯冠延長術は、歯槽骨を削ることで生物学的幅径を確保する方法であり、術後に歯肉の退縮が必ず起こるため、主に臼歯部で行われます。審美性の要求される前歯部での適用には不向きであるでしょう。

 

初診時口腔内。転倒により左右の上顎中切歯2本を強打して歯冠歯根破折を生じ、近医にて応急処置を受けた。歯肉からの悪臭、疼痛および審美障害を訴え来院。前歯部の噛み合わせが深く(過蓋咬合)、下顎前歯はほとんど見えない。このようなケースでは、矯正装置を装着することが困難なため、矯正的挺出を行うことは難しい。

 

初診時レントゲンおよびCT画像。右側中切歯(向かって右)は歯髄に近接した白い充填物を認める。根管治療後、補綴治療を行うこととした。左側中切歯(向かって右)は歯槽骨にまで及ぶ歯根破折を認め(黄⇒)、通常であれば矯正的挺出あるいは抜歯のケース。過蓋咬合で矯正的挺出が行えない為、根管治療を行った上で外科的挺出を図り歯牙を保存することとした。

 

左側中切歯の根管治療時。根尖部まで緊密にしっかりと根管充填されている。

 

外科的挺出直後。歯根を約3㎜ほど外科的に歯槽骨から引き出した(黄⇒)。歯根が歯槽骨から脱臼されているため、歯根周囲は黒い隙間が確認できる(赤⇒)。歯の動揺が強いため、隣在歯と接着剤で固定を図る。

 

外科的挺出2か月後。歯槽骨の再生により、歯根周囲の黒いレントゲン透過像が消失している。歯の動揺も落ち着いた。

 

右側(向かって左)中切歯の根管治療後。外科的挺出を図った左側(向かって右)中切歯の歯根周囲に骨の再生を認める。歯根の吸収は認められない。

 

治療後口腔内。オールセラミッククラウンによる審美修復を行った。下顎前歯部はクラウディングが存在していたため、噛み合わせの改善を目的として部分矯正を行た。抜歯をせずに治療できたことは、患者さんにとって非常に有益であろう。

 

外傷歯を保存できるか否かは、歯や歯周組織、咬合等の条件に左右されます。

歯根が短い場合には、挺出して歯牙を保存することは出来ません。

外傷で歯を受傷したした場合には、なるべく早く歯科医院を受診し、治療方針を相談することをお勧めします。

治療費用:精密根管治療¥77,000/1歯

ファイバーコア¥22,000/1歯

オールセラミッククラウン¥132,000/1歯

部分矯正¥550,000

治療期間:11か月

治療上のリスク:外科的挺出は将来歯根吸収を起こすリスクがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科, 根管治療, 矯正歯科

上顎大臼歯の根管治療を保険診療で受けると、予後不良となる確率が高い!~精密根管治療による根尖病巣と歯性上顎洞炎の治癒例~

根管治療は、歯科治療の中でも最も難しい治療のひとつです。

特に上顎大臼歯の根管治療は非常に難易度が高い治療です。

通常、歯根が2~3本存在し、根管(神経の入った管)が3~4本存在しています。

歯根や根管の湾曲が強いものも少なくなく、ファイル(細い治療器具)の破折やパーフォレーション(穿孔;歯根に穴を開けてしまう)のリスクが高い歯が多いのです。

それに加え、上顎臼歯部は視認性と器具の到達性が悪く、患者さんの開口量によっては器具が下顎の歯に当たり治療が困難な場合も少なくありません。

保険診療の根管治療は、治療の難易度に対して保険点数が極めて低く、治療に時間と労力を割くことができませんし、コストに見合った材料や器具しか使うことが出来ません。

その結果、根管治療はなかなか進まず半年一年と治療をダラダラ続け、根管治療した歯の予後が悪く治療のやり直しを繰り返すこととなります。

 

初診時レントゲン。右側上顎第一大臼歯の疼痛と歯茎の腫れを主訴に来院。コンポジットレジンによって、歯髄(しずい)に近接した虫歯治療がされている。

初診時CT画像。根尖部(こんせんぶ;歯根の先端)には根尖病巣による黒く丸いレントゲン透過像を認める(黄⇒)。根尖病巣が上顎洞に近接しているため、上顎洞の内部に白いレントゲン不透過性の炎症所見を認める(赤⇒)。歯髄壊死による根尖病巣(慢性根尖性歯周炎)および歯性上顎洞炎と診断し、根管治療を行うこととした。このようなケースは、根管治療がうまくいかなければ上顎洞炎が増悪し、抜歯に至る。

 

根管充填後レントゲン。歯の痛みおよび歯茎の腫れが改善したため、根管充填を行った。4つの根管に根管充填されているのが分かる。

根管充填後CT画像。根尖部までしっかりと白い薬が充填されているのが分かる。根尖病巣による根尖部の黒いレントゲン透過像は縮小してきており(黄⇒)、上顎洞の炎症も治癒してきているのが分かる(赤⇒)。

 

治療1年後。何も症状はなく順調に経過している。

治療1年後CT画像。根尖部にあった黒いレントゲン透過像および上顎洞内の白いレントゲン不透過像は消失し、根尖病巣および歯性上顎洞炎は完全に治癒している。保険治療では決してこのようにはいかない。

 

根管治療は、一番初めの治療(抜髄;ばつずい、神経を取ること)が最も成功率が高く、再治療(治療のやり直し)は難易度が高く成功率が顕著に低下します。

したがって、根管治療を受ける際は、最初から保険ではなく自費での治療を受けるべきで、その方が治療後の歯の予後は良く、長くご自身の歯で過ごすことが出来るでしょう。

自費での治療は確かにイニシャルコストがかかりますが、歯がダメになって将来抜歯になり、ブリッジやインプラントになることを考えると、トータルコストは抑えることが出来ます。

普段は気付きもしませんが、何よりもご自身の歯で不自由なく食べられることは、とても幸せなことではないでしょうか?

治療費用:精密根管治療(大臼歯)¥99,000

ファイバーコア¥22,000

オールセラミッククラウン¥132,000

治療期間:3か月

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。神経を失った歯は将来歯根破折を生じるリスクがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

歯髄壊死による重度歯性上顎洞炎の治癒例~精密に根管治療を行う重要性~

上顎の臼歯部の上方には、上顎洞という副鼻腔が存在しています。

日本人は上顎洞が広く、特に上顎大臼歯の根尖(歯根の先端)は上顎洞に近接あるいは上顎洞に突出しているケースが多く、根尖病巣(歯根の先端部の炎症:慢性根尖性歯周炎)を生じると歯性上顎洞炎を併発するリスクが非常に高いです。

根尖病巣を生じる原因は、主に虫歯や虫歯治療から生じた歯髄炎、歯髄壊死、不適切な根管治療などです。

上顎大臼歯は非常に複雑な歯根形態をしており、また視野や器具の操作性が悪いため、根管治療の難易度が最も高い部位です。

根管治療の成否は、上顎洞炎の罹患や歯の保存を決定的に左右します。

 

我が国の保険治療での根管治療の成功率は30~50%ほどとされていますので、保険治療で難しい上顎大臼歯部の根管治療を受けた場合、歯性上顎洞炎を生じるリスクは高いと考えられます。

根管治療は、初回治療の成功率が高いものの、再治療では成功率は大幅に低下します。

このことから、イニシャルコストはかかりますが、大臼歯特に上顎の大臼歯の根管治療は最初から自費治療でお受けになるのが賢明だと思います。

 

初診時レントゲン。右側第一大臼歯の痛みと歯茎の腫れを主訴に来院。右側顔面の疼痛および後鼻漏、鼻閉を訴えていた。当該歯は虫歯治療がしてあり、大きなコンポジットレジンが歯髄付近まで充填されていた。根尖部には黒いレントゲン透過像を認める。

 

初診時CT画像。当該歯の根尖部には根尖病巣と思われる黒いレントゲン透過像(赤⇒)を認める。上顎洞は上方まで白く不透過性が亢進しているのが分かる(黄⇒)。虫歯治療から生じた慢性根尖性歯周炎から継発した歯性上顎洞炎と診断し、根管治療をを行うこととした。

 

根管治療後レントゲン。根尖部まで緊密に根管充填されているのが分かる。臨床症状はすべて改善した。

 

根管充填後CT画像。根管治療を開始して一月後には上顎洞内部は正常な透過性を認め(黄⇒)、顕著な上顎洞炎の改善を認める。根尖病巣は縮小している(赤⇒)。

 

根管治療後1年。根尖部のレントゲン透過像は完全に消失し、根尖病巣は治癒している。

 

根管治療後1年のCT画像。初診時に認めた上顎洞内部の不透過性が改善し、正常な黒い含気腔を呈する(黄⇒)。根尖病巣も完全に治癒し、黒い透過像は消失し、骨の良好な再生を認める(赤⇒)。

 

歯性上顎洞炎は、歯を正しく治療すれば治癒することは多いです。

しかしながら、鼻腔と副鼻腔を繋げる自然孔が閉塞していたり、鼻中隔の湾曲などにより鼻腔の換気が悪いようなケースでは、歯の治療だけでは改善しないこともあります。

そのようなケースでは、耳鼻科との連携治療が必要になります。

いずれにしても、上顎洞炎の原因が歯にあるのか、鼻にあるのかを正しく診断することが重要となります。

治療費用:精密根管治療(大臼歯)¥99,000

ファイバーコア¥22,000

オールセラミッククラウン¥132,000

治療期間:2か月

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。病態によっては耳鼻科との連携が必要になります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

失活歯の変色による前歯の審美障害~オールセラミッククラウンによる審美修復~

虫歯や歯の外傷によって歯の神経を失うと、歯の色は変色を起こします。

この変色は、しばしば審美的に大きな障害となります。

特に上顎の前歯は人目に付きやすく目立つため、口元を気にして笑うことが出来ないこともあり、精神的にもストレスを感じている方も少なくありません。

失活歯(神経を失った歯)の変色の改善方法は以下の2通りの方法があります。

①歯の漂白(ウォーキングブリーチ)

②セラミッククラウンによる審美修復

歯の漂白が適応になる症例は、歯の実質欠損が少なく(大きく欠けたり詰めていない)、歯の原型をとどめているケースで、なおかつ歯にクラック(ひび割れ)が無いケースに限られます。

現実的には、歯の神経が無い歯の場合、大きく歯の形態を失っているケースが大半です。

そのような場合には、セラミッククラウンによる審美修復が適応になります。

 

初診時口腔内。上顎前歯部の審美的な改善を主訴に来院。上顎前歯3本の変色が強く、また歯の実質欠損も大きい。セラミッククラウンによる審美修復が適応と診断した。

 

治療後。変色の強い上顎前歯3本をオールセラミッククラウンによって修復した。色合い、形態ともに自然に仕上がっており、明るく美しい口元になった。

 

上顎前歯の審美性は、ヒトの表情をも左右する影響力を持っています。

ベストな治療の方法は個々人によって異なりますが、審美性、機能性、長期安定性のバランスが取れた方法の選択が最良な結果となるでしょう。

歯の変色でお悩みの方は、一度担当の先生にご相談してみると良いでしょう。

 

治療費:オールセラミッククラウン¥132,000/1歯

仮歯¥5,500/1歯

治療期間:3週間

治療におけるリスク:硬いものや噛み応えのあるものを食べると、欠けることがあります。また、適切なセルフケアを行わないと、虫歯や歯周病に罹患します。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

アングルⅢ級(軽度) クラウディング(叢生、乱杭歯)の治療例~スリーインサイザー(3 incisor)~

不正咬合(歯列不正)は、上下の大臼歯の咬合関係(位置関係)によってアングルⅠ~Ⅲ級に分類します。

アングルⅠ級:上下の大臼歯が正常な場合

アングルⅡ級:下顎の大臼歯が、上顎の大臼歯よりも相対的に後方にあるもの(出っ歯の状態がこれにあたる)

アングルⅢ級:下顎の大臼歯が、上顎の大臼歯よりも相対的に前方にあるもの(受け口の状態がこれにあたる)

 

矯正治療が最も容易なものは、当然初めから奥歯の咬合状態が正常であるアングルⅠ級です。

これは、奥歯の前後的な補正を行う必要が無いためで、非抜歯で治療できるケースもあります。

これに対して、Ⅱ級およびⅢ級では咬合関係の補正あるいは補償をするために、ほとんどのケースで抜歯およびIPR(ディスキング、ストリッピング)が必要になります。

また、外科矯正が適応になるケースも多々あります。

このように、アングルの分類は治療計画を立てるうえで非常に重要となります。

 

矯正治療で便宜抜歯を行ってスペースを確保する場合、最も頻度が高いのは第一小臼歯(4番)を抜歯するケースです。

しかし、咬合関係がⅡ級あるいはⅢ級の場合には、第二小臼歯(5番)を抜歯することも多々あります。

上下の歯並びや咬合関係によっては、変則的に側切歯(2番)や犬歯(3番)を抜歯するケースも稀にあります。

抜歯部位の判断は、治療の難易度や期間、年齢、歯や歯並びの状態などを総合的に判断行います。

基本的には、偶数本を便宜抜歯することで、歯列と顔貌の左右対称性を図ることが多いですが、抜歯本数を極力減らすために変則的な抜歯(奇数本の抜歯や、小臼歯以外の抜歯)を行うこともしばしばあります。

 

初診時。上下のクラウディング(叢生、乱杭歯)の改善を希望して来院。下顎前歯部の叢生が顕著。上顎前歯は捻転(ねじれ)および前突しており、歯軸の改善が必要な軽度アングルⅢ級のケース。上下顎ともに顕著な骨隆起(骨の出っ張り)を認め、咬合力の強さやブラキシズム(歯ぎしりや食いしばり)の習慣が疑わる。このようなケースでの4本の便宜抜歯は、咬合の観点からリスクが高いと思われる。総合的に判断し、上顎はIPR(ディスキング、ストリッピング),下顎は左側中切歯1本の便宜抜歯を行って3本前歯(スリーインサイザー)にして、歯列矯正を行うこととした。

 

矯正治療後。上下ともに左右対称なきれいな歯列になっている。前歯部のクラウディングおよび前突が改善し、美しい口元となった。下顎前歯が3本となった関係で、上下の正中は一致しないが、機能的にはまったく問題はない。最少の抜歯本数、臼歯部の咬合関係を大幅に変化させずに治療できたメリットは大きい。

 

矯正治療は、治療前の診断および治療計画が非常に重要です。

一旦、抜歯やIPRを行えば、それを元に戻すことは不可能なため、計画に無理があると後々修正することは困難になります。

最初に描いた治療の青写真、完成予想図以上に良い治療結果は生まれないものです。

したがって、矯正治療を受けるに当たっては、術前に担当の先生と十分なカウンセリングを行うことが重要となるのです。

治療期間:1年6か月

治療費:全顎矯正¥880,000

治療におけるリスク:矯正治療では歯肉退縮および歯根吸収、知覚過敏、稀に歯髄壊死が生じる可能性があります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

外傷による歯牙破折の治療例~E-Max~

歯の外傷により、歯が欠けることがしばしばあります。

特に上顎の前歯はぶつけやすく、切端(先端)の部分が欠けることが多いです。

前歯の切端は、一度欠けるとコンポジットレジンで修復しても、食事の時に食べ物が当たってしまい、わりとすぐに再び欠けてしまいます。

また、コンポジットレジンは経年劣化により、変色や褐線を生じやすく、しばしば審美的に障害となります。

このような場合には、セラミックによる歯冠修復が適応になります。

 

治療前。歯の外傷により切端が欠けている状態。コンポジットレジンにて修復してあるものの(矢印)、変色や段差、褐線が気になり改善を希望。セラミッククラウンによる歯冠回復を行うこととした。

 

治療後。オールセラミッククラウン(E-Max)による審美補綴を行った。歯の透明感、色合い、形態、歯肉との調和が良く、天然歯との見分けがつかない。

 

虫歯や歯ぎしりでも、同様に歯の切端が欠けることがあります。

切端部分をコンポジットレジンで修復しても、再び欠けることは避けられません。

長期的に審美性を維持し、食事の際にも欠けにくくするためには、セラミックによる修復を検討してみると良いでしょう。

 

治療費:セラミッククラウン(E-Max)¥132,000

治療期間:2週間

治療におけるリスク:硬い食べ物は稀にセラミックが欠けることがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

部分矯正(MTM)によるクラウディング(叢生、乱杭歯)の改善~部分矯正は実は簡単ではない!~

矯正治療を希望される人のほとんどが、前歯の歯並びの改善を希望しているかと思います。

部分的な矯正治(MTM)は、簡単なように見えて、実は上下の歯の噛み合わせを合わせるのが非常に難しい治療です。

特に上顎だけあるいは下顎だけのように、片方だけの歯並びの改善・治療を希望する場合、基本的に嚙み合わせを合わせることは困難です。

これは、上下の歯並びは対になっており、悪い歯並び同士で辻褄が合っているためです。

上下のいずれかだけの歯並びを治すとバランスが崩れ、歯並びはきれいに並んだものの噛みにくくなることがあります。

その点、全顎矯正は全体を動かすことが出来るため、咬み合わせの改善を図ることが可能です。

 

治療前。下顎前歯部のクラウディングの改善を主訴に来院。以前、他院にて矯正治療を行ったが、後戻りしたため再矯正を希望。上顎は気になっておらず、下顎だけの改善を希望。下顎を前方に動かすと、左側中切歯(向かって右)だけしか噛み合っていないのが分かる。このような噛み合わせは、咬合性外傷による歯周病に罹患しやすい。

 

矯正治療後。ディスキング(IPR、ストリッピング)を行い、歯と歯の間にわずかな隙間を作り歯並びを改善。下顎前歯部はきれいに並び、下顎前方運動時も左右の中切歯が均等に咬合するようになった。

 

部分矯正(MTM)は、費用、期間などの点で魅力的に感じるかもしれません。

しかし、部分矯正では基本的に便宜抜歯をしないため、歯並びを整えるスペースを十分に確保することは難しく、難易度は高いのです。

特に重度のクラウディング(叢生、乱杭歯)の程度が強い場合、歯並びをきれいにすると結果的に出っ歯になったり開咬(オープンバイト)になることもあります。

矯正治療をお受けになる際には、治療後の仕上がりについて、術前に十分なカウンセリングをお受けになる必要があるでしょう。

治療費:¥440,000

治療期間:6か月

治療におけるリスク:歯列矯正では歯根吸収や歯肉退縮、知覚過敏が生じる可能性があります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

診療内容

アクセス

中央本線神田駅(東京都) 南口から徒歩3分
総武線快速新日本橋駅 2番出口から徒歩1分
銀座線 三越前駅 A8出口から徒歩3分
Google Map