〒103-0022 東京都中央区日本橋室町4-3-12 バンセイ室町ビル2F
【診療時間】月〜金 10:00-14:00/15:00-18:30
      土 10:00-13:00/14:00-17:00
【休診日】日曜・祝日

お電話でのご予約は


※お急ぎの方はお電話ください。

カテゴリ: 矯正歯科

インプラントよりも自分の歯を残す努力を!~MTM(部分矯正)を利用した歯の保存~

不幸にして歯がダメになってしまった場合、一般的に歯を入れるには

①入れ歯(義歯)

②ブリッジ

③インプラト

のいずれかになります。

それぞれの方法には、良い点もそうでない点もあります。

入れ歯は、治療期間が短く、費用が最小で済みますが、見た目が悪く、違和感も大きく、噛む効率が悪くなります。

ブリッジは、見た目が自然で違和感が少なく、治療の期間も短めです。そして自分の歯と同じように噛むことが出来ます。その半面、両隣の歯を大幅に削る必要があり、負担も増えます。

インプラントは、自分の歯に一切負担をかけず、違和感、審美性で優れています。その反面、インプラントの埋入手術が必要で、治療期間がかかり、費用がもっともかかります。

 

通常、自分の歯にダメージを与えずに最も長く持つ治療法は、現在の治療技術であればインプラント治療であることは疑う余地がありません。

しかしながら、そこに歯並びの問題が加わると、状況は大きく変わります。

 

治療前、右下の4番(第一小臼歯)が大きな虫歯となり、保存不可能な状態(青⇒)。舌側には5番(第二小臼歯)は転位している(黄⇒)。歯並びが悪いため清掃不良となり、虫歯が進行してしまったと考えられる。2本とも抜歯して、入れ歯・ブリッジ・インプラントの治療計画が一般的と考えられるが、第二小臼歯を部分矯正し、歯列に参加させるという治療計画も成り立つケース。

 

第一小臼歯を抜歯した(青⇒)。内側の第二小臼歯は歯並びが悪かったため、虫歯を認める(黄⇒)。虫歯治療後、MTM(部分矯正)にて第二小臼歯を外側に引き出す治療を行うこととした。

 

ブラケットを装着し、第二小臼歯を外側に引っ張っているところ。

 

第二小臼歯がかなり外側に動いてきているのが分かる。

 

MTM(部分矯正)終了時。内側に入っていた第二小臼歯は歯列の中に正しく並んだ。自分の歯が残せるメリットはとてつもなく大きい。

 

歯を抜くことはいつでも可能です。

もし、ご自身の歯が長期に安定して残せる可能性があるなら、MTM(部分矯正)はインプラントよりもはるかにメリットがあるでしょう。

自分の歯に勝る歯はないのです。

治療法は、歯科医院によって千差万別です。

悩んだ時は、色々な歯科医院で意見を伺うと良いでしょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

インビザラインなどのマウスピース矯正の予後不良例が増えている!~治療は適材適所が重要~

コロナ禍になってから、矯正治療を希望する患者さんが増えているようです。

社会全体がマスク生活になり、口元が目立たない今のうちに歯並びを治しておきたいと考える患者さんが増えているためと考えられます。

そして、矯正治療の中でも歯にブラケットなどの矯正装置を装着しないで歯並びをきれいにできるマウスピース矯正が流行っています。

確かに、マウスピース矯正は患者さん自身で装置を自由に脱着できますし、歯磨きもしやすく、装置を装着していても目立ちにくいメリットがあります。

しかしながら、マウスピース矯正には適応症があります。

軽度の前歯の叢生(乱杭歯、凸凹、クラウディング)やすきっ歯(空隙歯列)はマウスピース矯正の適応となりうるでしょう。

噛み合わせの改善を行う必要がある場合(上顎前突、下顎前突、ディープバイト、過蓋咬合)や抜歯矯正などはマウスピース矯正には向いていません。

つまり、多くの歯列不正はマウスピース矯正で治すことは難しいと言えます。

 

マウスピース矯正では、最低でも1日20時間以上のマウスピースの装着が必要といわれています。

長時間かつ長期間マウスピースを装着していると、奥歯は咬み合わせる力で圧下し(沈み込む)、徐々に噛み合わなくなります。

このようなことを、スプリント(マウスピース)を使用した多くの咬合治療で見てきました。

 

マウスピース矯正は、矯正歯科医でない一般歯科医でも治療を手軽に始める傾向にあります。

歯型の型取りをすると、コンピューター上で歯並びをシミュレーションし、マウスピースを作ってくれるため、歯科医師がすることはほとんどないと思われていますが、矯正治療はそんなに簡単ではありません。

マウスピース矯正による噛み合わせの不具合は、ワイヤー矯正による修正が必要になる場合があるため、ワイヤー矯正をきちんとできる歯科医の下で行うことが必須です。

したがって、マウスピース矯正をする場合には、最終的にワイヤー矯正に移行して噛み合わせをきちんと噛ませることが必要になると治療当初から考えていた方が無難でしょう。

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

上顎前突(出っ歯)の抜歯矯正治療

出っ歯のことを、歯列矯正では上顎前突と呼びます。

上顎前突は、下顎に歯列に対して上顎の歯列が前に出ている歯並び・歯列不正のことです。

上顎前突は、見た目の悪さが目立ちますが、それ以外にも口唇が閉じにくい、外傷を受けやすいなどのデメリットがあります。

上顎前突の矯正治療は、上の前歯を内側に入れるために、通常上顎の第一小臼歯(4番)を左右抜歯し、できた隙間に前歯を下げていきます。

噛み合わせにの状況によっては、下顎の小臼歯を2本抜歯することもあります。

これは、上下の歯の数が異なると、理想的な咬合関係を築くことが困難なためです。

しかしながら、抜歯を最小の本数にする方法として、上顎の小臼歯だけを抜歯する治療計画は一般的によく行われています。

 

治療前。上顎の前歯の突出の改善を主訴に来院。上顎前歯の前方への突出が著しい。また下顎の前歯が上顎の歯茎を噛んでおり、過蓋咬合(ディープバイト)を呈している。上顎前歯の後方移動と過蓋咬合の改善が必要な症例。臼歯部の上下の咬合関係は完全な2級咬合(下顎遠心咬合)であるため、上顎の左右の第一小臼歯だけを抜歯する計画とした。

 

矯正治療後。上顎の小臼歯を抜歯したスペースを利用することで、上顎前歯が内側にきれいに並んでいることが分かる。過蓋咬合も改善し、個性正常咬合を確立した。上下の歯の数が異なる変則抜歯のケースでは、抜歯本数を最少に出来るものの、下顎第二大臼歯(一番奥の歯)は噛み合わせにあまり参加できない欠点もある。治療計画は、総合的に最善な結果が得られるよう立案し提案することが重要。

 

治療期間:1年2か月

治療費用:¥960,000

治療のリスク:矯正治療は歯肉退縮や歯根吸収を起こすことがあります。また、治療後は保定を適切に行わないと、後戻りを起こすことがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

 

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

上顎前突(下顎遠心咬合)の抜歯矯正の治療例

上顎前突とは、上の歯が下の歯に対して前方に出ている歯列不正です。

つまり、上顎の歯列に対し下顎の歯列が後方にずれている状態を差し、下顎遠心(えんしん;後ろという意味)咬合ともいわれます。

出っ歯は、まさにこの上顎前突、下顎遠心咬合の状態のことです。

上顎前突では、上顎前歯を内側に入れる治療を目標にします。

通常、歯列に隙間は無いことから、上顎前突の場合には小臼歯を便宜抜歯しての矯正治療が最もスタンダードになります。

上顎前突の程度が軽かったり、歯列の後方(奥)にスペースがあれば、矯正用インプラントを使用し、非抜歯での治療が可能な場合もあります。

上顎前突の場合、抜歯か非抜歯可能判断で重要となるのが、側貌(横顔)の美しさの指標となるE-line(エステティックライン)です。

E-lineは、顔を横から見たときに、鼻の先端とオトガイ(下唇の下)の再突出部を結んだ 線のことです。

日本人では、下唇がこのE-line上もしくはやや後方であると最も側貌が美しいと考えられています。

したがって、口腔内、レントゲン、歯列模型、顔貌などを総合的に分析して、抜歯か非抜歯かを最終決定することが重要となります。

 

初診時口腔内。上顎前歯部の凸凹を主訴に来院。側貌は上下口唇がほぼE-line上にあるものの、上顎歯列が下顎歯列に対して前方にあり、2級咬合(下顎遠心咬合、上顎前突)を呈する。上顎前歯部のクラウディング(叢生)が強く、下顎歯列に大きな不正は見られない。非抜歯矯正では上顎前歯が前方に突出して出っ歯になってしまい、美しい側貌が損なわれるケース。上顎の左右第一小臼歯だけを抜歯して矯正治療を行う方針とした。

 

矯正治療後。上顎前歯の凸凹は改善し、左右対称の美しい歯列になった。抜歯矯正において、上下の犬歯の咬合関係は極めて重要となる。上顎はクリアリテーナー(マウスピース)、下顎はFixリテーナー(ワイヤー)で保定を行った。矯正治療後も、美しい口元は保たれている。

 

矯正治療は、見た目の歯並びだけでなく、顔貌の美しさ、舌房の広さ、良好な噛み合わせなどを総合的にバランスの取れた状態にすることが重要と言えるでしょう。

治療に際して、不安なことがあればいつでも遠慮せずに担当の先生にご相談しましょう。

治療期間:1年6か月

治療費:矯正治療基本料 ¥880,000

治療に伴うリスク:治療期間は歯列不正の程度により異なります。矯正治療では歯の移動に伴って歯根吸収が生じることがあります。矯正治療後は、適切に保定を行わなないと、後戻りを起こすことがあります。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

前歯の埋伏歯の矯正治療法

上顎の前歯、特に犬歯が正常に萌出できずに、顎骨の中に埋伏してしまうケースが時々あります。

本来萌出すべき歯が埋伏してしまうと、歯の本数が足りなくなるため、歯並びや噛み合わせが悪くなり、審美的にも機能的にも問題を生じてしまいます。

犬歯が埋伏しているケースでは、ほとんどのケースで乳犬歯が残存しており、この乳犬歯は色も形も大きさも永久歯と明らかに異なります。

また、長期的には乳犬歯は動揺してくるため、いずれ抜歯が必要になるでしょう。

まだ年齢が若いのであれば、埋伏している犬歯を矯正治療で動かし、歯列の中にきちんと並べることができる可能性があるので、治療する価値は十分にあります。

 

埋まっている犬歯を開窓し、矯正装置を付けたところ(矢印)。ゴムをかけ唇側に牽引していく。

 

かなり唇側に動いているのが分かる。埋まっている歯を動かす場合、歯の向きや傾きが分かり難いので、定期的にレントゲンを撮影し、牽引する方向を確認しながら治療を進めていく。

 

埋伏していた犬歯はほぼ歯列の中に入っているのが分かる。ここまで動けば、あとは通常の歯列矯正で動かすことが可能となる。

 

埋伏歯は、埋まっている深さや向き、年齢や性別によって、動きやすさがまったく異なります。

基本的に、若ければ若いほど骨が柔らかく、動かしやすい傾向にあります。

まずはCTによる診査を行い、埋伏歯を動かせるかどうかを診断する必要があるでしょう。

詳しくは、担当の先生にご相談してみましょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

オープンバイト(開咬)の矯正治療~詳解!矯正用インプラントを使用した非抜歯開咬治療~

オープンバイト(開咬:かいこう)とは、奥歯で噛んだ時に、前歯が全く嚙み合わない歯列不正のことを指します。

原因はいろいろ考えられますが、先天的な骨格の異常や、幼少期の指しゃぶり、舌突出癖、アデノイドや扁桃腺肥大・鼻炎などによる口呼吸を起因としたものなどがあります。

いずれにしても、オープンバイト(開咬)は奥歯でしか噛めないため、様々な不具合を生じます。

  • 審美性が悪い
  • 噛み合わせが悪い
  • 前歯で食べ物を噛めない
  • 顎関節症になりやすい
  • 奥歯の加重負担により、咬合性外傷(歯周病)になりやすい
  • 奥歯が欠けたり、割れたりしやすい
  • 肩こり、首こり、頭痛などの不定愁訴を引き起こしやすい

このように、オープンバイト(開咬)は多くの問題を抱えています。

したがって、オープンバイトを歯列矯正で治療するメリットは非常に大きいと言えます。

 

初診時。奥歯の痛みを主訴に来院。奥歯でしっかりと噛んでいる状態。前歯だけでなく、小臼歯、大臼歯も噛んでいないのが分かる。奥歯に噛み合わせの力が集中してかかるため、咬合性外傷となって痛みを生じている。最後方の第二大臼歯(7番)しか噛んでなく、奥歯が痛くなるのは必然といえる。根本的な解決には矯正治療が必要なケース。

 

下顎にブラケットを装着。下顎第二大臼歯(7番)の挺出(ていしゅつ;伸び出ていること)およびスピー湾曲(調節湾曲;歯列の湾曲のこと)が強いため、これを積極的に改善していく。

 

治療開始2カ月後。レベリングが進んできているが大きな変化はまだ見て取れない。前歯部のスペース(隙間)をエラスティックチェーン(ゴム)で徐々に閉じていく。

 

3か月後。上顎にブラケットを装着し、レベリングを行っていく。下顎には前歯を後方へ引くためのクロージングアーチワイヤーを装着。

 

4か月後。上顎のレベリングを引き続き行う。前歯部の捻転(捻じれ)は徐々に取れてきている。

 

5か月後。上顎舌側にTPA(トランス・パラタル・アーチ)を装着。下顎にはMEAW(マルチループ・エッジワイズ・アーチワイヤー)を装着。前歯部で上下に顎間エラスティックを装着し、臼歯部の圧下(骨の中に入れ込む)を図る。エラスティックをきちんと行わないと、開咬が悪化するので注意。上顎大臼歯の圧下を図るため、上顎臼歯部にプレートタイプの矯正用インプラントを設置する。

 

6か月後。上顎臼歯部に矯正用インプラントを設置。オープンバイトがかなり改善してきているのが分かる。顎間エラスティックの効果は十分に発揮されている。上顎のスペース(空隙)はエラスティックチェーンで閉じていく。

 

7か月後。矯正用インプラントの効果で、オープンバイトはさらに改善しているのが分かる。引き続き、前歯部のスペースも閉じていく。

 

8か月後。左側臼歯部の開咬もかなり改善していているのが分かる。矯正用インプラントによって、上顎臼歯部の圧下と、前歯部のリトラクション(後方移動)を同時に行っていく。

 

 

9か月後。上下ともに、前歯部のリトラクション(後方移動)が進み、スペースがかなり閉じてきているのが分かる。

 

10か月後。上顎にクロージングアーチワイヤーを装着し、前歯部のリトラクション(後方移動)を積極的に進める。

 

11か月後。オープンバイトがかなり改善し、前歯部が噛んできているのが分かる。上顎前歯のリトラクションをさらに進める。

 

12か月後。下顎の強いスピー湾曲が改善したため、MEAWからクロージングアーチワイヤーに変更。上下とも前歯部のリトラクションを進める。

 

13か月後。引き続き、前歯部のリトラクションを進める。

 

 

14か月後。下顎の前歯部のスペースは完全に閉じた。上顎のTPA(トランス・パラタル・アーチ)を外し、臼歯部の咬合関係を緊密に噛ませていく。

 

15か月後。上顎は引き続き前歯のリトラクションを行う。

 

17か月後。正中(歯列の真ん中)を修正するために、上顎前歯部を左側(向かって右)に引いている。小臼歯部の咬合を緊密にするためにワイヤーベンディング(ワイヤーを曲げて調整すること)を行い、咬合の微修正を加えていく。左側臼歯部(向かって右)はさらに噛み込んできているのが分かる。

 

19か月後。ワイヤーベンディングの効果で、さらに咬合が緊密になってきているのが分かる。

 

21か月後。オープンバイトは改善し、緊密な咬合関係が得られているのが分かる。前歯部のスペースをさらに緊密に閉じていく。

 

22か月後。上顎前歯部のスペースを完全に閉じるため、再度クロージングアーチワイヤーを装着。

 

23か月後。下顎小臼歯部のブラケットを定位置に付け替え、ストレートワイヤーに交換。歯列の微調整を行う。

 

24か月後。上顎に残るわずかなスペースを閉じるため、ワイヤー調整を行う。

 

治療後。オープンバイト(開咬)は改善し、左右ともにしっかりと緊密に噛んでいるのが分かる。上下の前歯部にあったスペースも完全に閉じている。初診時にあった奥歯の痛みは完全に消失し、何でもしっかりと噛むことが出来るようになった。前歯部が噛み合うことで、発音も明瞭になった。肩こり、首こり、頭痛などの不定愁訴も消失。

 

オープンバイト(開咬)は、審美的にも機能的にも、さらに健康上極めて不利益が大きい歯列不正です。

顎間エラスティックだけでの改善では、後戻りもしやすい歯列不正でもあります。

オープンバイトは、非抜歯矯正よりも抜歯矯正のほうが前歯部の被蓋(ひがい;重なり)を深くできるため後戻りは起こりにくいです。

非抜歯矯正であっても、矯正用インプラントを併用して前歯部の被蓋を深くすることができれば、後戻りのリスクは少なくなります。

また、後戻りを防ぐためには、舌の悪習癖や口呼吸の改善、噛み締めなどのMFT(筋機能訓練)なども有効でしょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

上顎の埋伏した親知らずを矯正治療で移動する治療法

現代人は顎の骨が細くて奥行きが無く、歯も大型化しているために、親知らずが正常に萌出することが出来なくなっています。

多くの症例では、親知らずがきちんと磨けないために、虫歯になったり、歯茎が腫れたりして痛むようになります。

また、親知らずを残しておくことで、手前の第二大臼歯(7番)が虫歯になったり、押されて歯並びが悪くなることが多々あります。

 

第二大臼歯(7番)の遠心(後ろ、奥側)が虫歯になると非常に厄介です。

この場所は治療器具が入らないため、この部位が虫歯になると、歯の神経を取らざるを得なくなります。

歯は、歯の神経が残っていることで長持ちするのです。

もし、歯の神経を取ることになると、歯が割れたりひびが入ったり、根の先に膿を持ったり(根尖病巣という)し、抜歯になるリスクが大幅に増えてしまいます。

したがって、通常役に立たない親知らずは早めに抜歯すべきといえます。

 

しかしながら、親知らずの手前の第二大臼歯(7番)が虫歯や歯根破折、根尖病巣などで保存不可能になった場合、条件によっては奥にある親知らずを活用できることがあります。

初診時レントゲン。上顎第二大臼歯(7番、赤矢印)が大きな虫歯になり、他院で根管治療したものの、保存不可能と診断され抜歯を宣告されたため、当院に来院。歯の向きが悪く(奥側を向いている)、ファイル(根管治療の器具)の破折もあるため、治療は難しいと診断した。第二大臼歯の奥側には、親知らず(黄矢印)が斜めにぶつけっているのが分かる。CT診査にて、親知らずを矯正力で引っ張ることが出来ると判断。第二大臼歯抜歯後、矯正治療で親知らずを動かして活用することとした。

 

第二大臼歯(7番)抜歯後。親知らずを下前方に動かすため(矢印)、上顎の歯にワイヤーや装置を装着する。

 

矯正開始40日後。かなり下前方に移動しているのが分かる。さらに下前方に親知らずを引っ張っるためブラケットとワイヤーを装着する。

 

矯正開始130日後。ほぼ下方に引き終わっている。引き続き親知らずを前方に引っ張っていく。

 

矯正治療後。矯正期間190日。抜歯した第二大臼歯(7番)の部位に、親知らずの移動が完了した。後戻り防止のためワイヤーで保定を行う。

 

親知らずを矯正治療で動かすことが出来るか否かは、様々な条件によって異なります。

親知らずの位置や傾き、骨の硬さ、埋まっている深さ、歯と骨の癒合の有無、対合歯とのクリアランス(下の歯との隙間)、年齢(若いほうが動きやすい)、性別(骨の柔らかい女性の方が動きやすい)などを総合的に判断する必要があります。

これらの条件が良くてはじめて、矯正治療で親知らずを動かすことが可能になるのです。

まずは、CT撮影による診査が必ず必要になるでしょう。

詳しくお知りになりたい方は、担当の先生にご相談すると良いでしょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

矯正治療の補助装置①~トランスパラタルアーチ~

矯正治療では、歯の表面に接着してワイヤーを装着するブラケット以外にも、様々な補助的な装置が存在します。

その代表的なものが、トランスパラタルアーチです。

トランスパラタルアーチは、上顎の大臼歯部の舌側に装着する装置の一種で、主に左右の奥歯の加強固定、近心移動の防止、歯列の側方拡大などを目的として装着します。

 

上顎第一大臼歯の舌側に装着されたトランスパラタルアーチ。左右の大臼歯の固定のために使用。

 

このトランスパラタルアーチは、小臼歯の抜歯症例でよく使われます。

小臼歯を抜歯するケースでは、大臼歯を固定源(アンカー)として前歯を舌側(内側)に動かしていきますが、このとき固定源である大臼歯そのものも前方に移動を起こしてしまいます。

固定源が動くことをある程度許容する場合には、このパラタルアーチはとても有効な装置です。

舌感などに違和感を感じやすい方は、矯正用インプラントを使用することも可能です。

詳しくは担当の先生にご相談すると良いでしょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

埋まっている親知らずを歯列矯正で引っ張る治療法

現代人の多くの親知らずは、歯の大型化と顎骨の狭小化によって、正常に萌出できなくなっています。

したがって、何か理由が無ければ、基本的には抜歯が適応になることが多いでしょう。

ところが、この親知らずの手前の第二大臼歯が虫歯などで保存が難しい場合、この第二大臼歯に代わって親知らずを代用できる可能性があります。

具体的には、親知らずを開窓して(歯茎や骨から出すこと)矯正装置を取り付け、矯正力によって骨の中から牽引し(引っ張りだし)、歯列の中に正常に並べるのです。

この際、真横になっている親知らずは牽引することが難しいので、適応にはなりません。

 

初診時レントゲン。骨に達する深い虫歯のため保存不可能となった右側下顎第二大臼歯(向かって左;矢印)。奥には、親知らずが埋伏している。このように親知らずが上を向いている場合には、矯正治療で親知らずを牽引して代用できる可能性がある。親知らずを外科的に再植する方法もあるが、この場合には歯の神経を取る(根管治療)必要がある。

 

矯正治療前口腔内。前歯部が全く噛んでいないオープンバイト(開咬)とクラウディング(叢生)。左側の臼歯部の噛み合わせが交差咬合になっており、下顎の左側(向かって右)への偏位を認める。問題点が非常に多い歯並びであることが分かる。

 

上顎咬合面。顎骨に対して歯が大きく、前歯部のクラウディングが強い。

 

下顎咬合面。下顎第二大臼歯は、深い虫歯で保存不可能のため、抜歯となった(矢印)。

 

右側方。臼歯部(奥歯)は噛んでいるが、前歯部は離開しているのが分かる。

 

左側方。臼歯部が上下反対に噛んでいる交差咬合を呈する。

 

埋まっていた親知らずを開窓し、ブラケットを装着して牽引をしているところ(矢印)。下顎は顎骨が硬いため、牽引には時間がかかる。

 

親知らずを牽引しているところ。過大な矯正力は副作用も大きいため、適正な力で徐々に牽引していく。

 

矯正治療終了後。抜歯をした第二大臼歯の部位に、開窓・牽引した親知らずがきちんと並んでいるのが分かる。再植では歯の神経を残すことは出来ず、神経を取る必要があるのに対し、矯正治療の場合には歯を健康なままで温存できる。歯の寿命において、この差は非常に大きい。

 

矯正治療後正面。前歯部のオープンバイトは改善し、美しい歯並びになった。下顎の偏位も改善し、上下の正中(真ん中)も一致しているのが分かる。

 

治療後上顎咬合面。歯列は側方に拡大され、非抜歯で前歯部のクラウディングも改善された。

 

治療後下顎咬合面。抜歯された右側第二大臼歯の代わりに、開窓・牽引した親知らずが配列しているのが分かる(矢印)。牽引した親知らずが正しい位置に配列することで、噛み合わせにきちんと参加できることが重要。

 

治療後右側方。オープンバイトが改善し、機能的、審美的な歯並びになった。

 

治療後左側方。下顎の偏位の原因となっていた臼歯部のクロスバイトが改善しているのが分かる。

 

残っていると、ほとんど害にしかならない親知らずでも、状況次第では活用することが可能です。

第二大臼歯が保存不可能な場合には、インプラントや延長ブリッジ、義歯(入れ歯)など、他にもいろいろな治療法が考えられます。

治療法によって治療期間や治療費用は異なりますし、それぞれの治療法のメリット・デメリットを比較検討の上、治療方針を決定していくのが良いでしょう。

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

 

 

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

歯列矯正用インプラント・smapシステム~プレートタイプ・インプラント~

近年、歯列矯正にインプラントがよく用いられるようになってきました。

インプラントを歯列矯正に用いるメリットは、

●歯を動かすための固定源の強化

●歯の後方(奥)への移動

●歯の圧下(歯をの根の中に押し込む)

●咬合平面の修正

●非抜歯矯正

●治療期間の短縮

などがあげられます。

インプラントを応用することによって、従来では難しかった治療も可能になってきました。

 

矯正用インプラントには、スクリュータイプとプレートタイプがあります。

スクリュータイプは、非常に細くて短いネジで、これを歯茎の上から骨に留めて使用します。

処置による痛みや腫れはほとんどないメリットがありますが、比較的緩みやすい欠点があります。

緩んだ場合には、一度外して付けかえる必要があります。

 

一方、プレートタイプのインプラントは、歯茎を切開して骨の表面にビスで留めるため、固定が非常に強力で緩みにくく、多数歯をいっぺんに動かしたり、様々な歯の移動が可能です。

ただ、処置後は腫れや痛みが出やすいのが欠点です。矯正治療中も、しばしば腫れたりすることがあります。

 

プレートタイプ・インプラント(smap システム)を設置したところ。3本のビスで骨の表面に強力に固定でき、あらゆる歯の移動に使用できる。

 

歯の治療は、なるべく最少の侵襲で最大の効果を発揮することが望ましいと思います。

ただ、いくら低侵襲であっても、目的をきちんと果たせなければ意味がありません。

どの治療法にも、利点と欠点がありますので、それぞれをよく吟味したうえで治療計画を立てること重要となります。

 

デンタルリテラシーを高めるためのブログはこちら

神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 矯正歯科

診療内容

アクセス

中央本線神田駅(東京都) 南口から徒歩3分
総武線快速新日本橋駅 2番出口から徒歩1分
銀座線 三越前駅 A8出口から徒歩3分
Google Map