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カテゴリ: 根管治療

歯茎の腫れを伴う根尖病巣があっても、未根管治療歯であれば高確率で治る

大きな虫歯があったり、深い虫歯治療の後に歯の強烈な痛みや歯茎の腫れを生じることがあります。

虫歯菌が歯の神経(歯髄)に達すると、やがて根尖(歯根の先端)から歯槽骨へと感染が広がっていきます。

その結果、根尖部の歯槽骨が溶け(この状態を根尖病巣と呼ぶ)、膿が溜まり、その膿を排泄させるために歯茎に腫れを生じます。

このような状況の場合には、根管治療が必要になります。

もし、根管治療を行わなければ歯槽骨の破壊が進み、抜歯を余儀なくされます。

 

根管治療は、抜髄(生きている神経を取る処置)もしくは歯髄壊死(すでに神経が死んでしまっている)した歯の感染根管治療である初回治療(初めて行う治療)と、すでに一度根管治療を行っている歯のやり直しである再根管治療とに分けられます。

根管治療の成功率は、初回治療と再根管治療ではまったく異なります。

初回治療の成功率は極めて高く、90%以上となっています。(専門医が正しく治療を行った場合)

しかしながら、やり直しの治療である再根管治療では、その成功率は一般的なもので70%以下になるというデータになっています。

それだけ再根管治療を成功させることは難しいと言えます。

したがって、根管治療は初回治療できちんと正しく行うことが重要ということになります。

 

根管治療前レントゲン。左下の奥歯の歯茎の腫れを主訴に来院。根尖部は根尖病巣による黒いレントゲン透過像を認める(矢印)。このような根管治療をまだ行っていないものは、正しく根管治療を行うと治癒する可能性は90%程度は見込める。

 

初診時CT画像。根尖部に明らかな黒い骨吸収像(根尖病巣)が見られる(矢印)。深い虫歯が原因の歯髄壊死と考えられる。歯根が3本で4根管をもつ歯であることが分かる。根管治療において、術前のCT診査は極めて重要で、根管の本数や湾曲の把握、根尖病巣の広がりや根管との関連性などを正確に診査できる。しばしばイレギュラーな歯根や根管を持つものが見つかることがある。

 

根管充填後レントゲン。根尖までしっかりと白い薬が入っているのが分かる。バイオセラミック・シーラーにて根管充填を行った。歯茎の腫れも完全に消失した。

 

治療3か月後レントゲン。根尖病巣は治癒し、黒いレントゲン透過像は消失しているのが分かる(矢印)。

 

治療3か月後CT画像。初診時CTと比べると、根尖部の骨吸収像の違いがはっきり分かる。正しく診査・診断をしてきちんと根管治療を行うと、自己の治癒力によって歯槽骨はドラマチックに再生してくる。

 

歯の治療において最も重要なのは、正しい診査と診断です。

根管治療は特に難しい治療ですが、その成功率・治癒率を術前にある程度把握することで、正しく診断し、患者さんにも適切に説明を行うができます。

これは、患者さんが治療を受けるか否かを判断するためにとても重要な意味を持ちます。

治療を受けても治る見込みが少ないのであれば、治療を受けないという決断をすることもできます。(抜歯をしたくない場合)

あるいは、根管治療ではなく外科的歯内療法(歯根端切除)をはじめから選択するということもできます。

もちろん、治る見込みが少なくても、治療して治すことにトライしたい考える方もいます。

治療はより人生がより良くなるために受けるものであって、QOLが下がるような治療は必ずしも必要とはいえないと考えています。

 

治療費:精密根管治療¥99,000

治療期間:2週間

治療におけるリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

保険の根管治療と自費の根管治療は何が違うのか?

歯の治療には、健康保険が適応される治療と、自由診療(健康保険が適応されない自費での治療)があります。

保険の治療と自由診療の違いはどこにあるのか、具体的に説明します。

➀術前の診査・診断

まず、すべての傷病にに対して最も重要となるのが診査、診断です。この診査、診断が正しく行われていなければ、当然ながら安全で正しい治療を行うことが出来ません。

航海に例えるならば、出航前に天候を念入りに調べ、航路や日程を決め、燃料や食品の準備をし、船の点検をするはずです。これらをきちんと行わなければ、安全な航海を行うことは出来ません。

歯の治療も然りです。

まず問診をしっかり行い、必要な口腔内診査、レントゲン・CTによる画像診断を正しく行います。

そしてエビデンスに基づき、その傷病を治療した場合のメリット、リスクを正しく評価します。

例え傷病があったとしても、やみくもに治療を開始せず、治療することのメリットよりもリスクやデメリットの方が高ければ、それを正しく評価して術前に患者さんに伝える必要があります。

治療するメリットがリスクを大きく上回らなければ、患者さんが治療を受ける恩恵を十分に享受できませんし、治療することで返って不利益を被ることがあってはならないのです。

インフォームドコンセントをしっかり行う上でも、この診査・診断はとても重要です。

保険の治療では、まずここがしっかりと出来ていないことが多いのです。

これが、治療後の予後不良やトラブルの原因となるのです。

 

②治療技術・知識

治療技術は、歯科医師によってまったく異なります。もちろんキャリアによるところは大きいです。しかしながら、キャリアを積めば正しくきちんとした治療ができるかといえば、必ずしもそうではありません。

より質の高い経験を多く積むことがとても重要で、その結果がフィードバックされ、さらに高い技術を獲得できるようになるのです。

特に、キャリアの浅いうちに積む経験は、技術だけでなく、その後の医療哲学の礎になるためにきわめて重要になると考えられます。

 

③使用薬剤・材料・機器

保険治療では、使用できる薬剤や処方に制約があります。患者さんのためにより良い治療を行おうとしたとき、この制約が足かせになることが多々あります。

例えば、海外では認可されておりエビデンスがある材料や薬剤でも、厚労省の認可が下りず保険の適応にならないものは多く存在します。

機器においても、使える頻度や回数に制約があり、必要な時に必要な診査や検査を行うことが出来ません。

 

④治療時間

治療時間の確保は、精度の高い治療をするうえで非常に重要です。

保険での治療は、多くの患者さんを診なければ医院を運営していくことが出来ません。

当然ながら、1回あたり少ない治療時間で何回も治療を行うことになります。

これは、効率が悪いだけでなく、治療の精度を高めることが難しいです。

15分の治療を4回行うよりも、60分の治療を1回で行った方がより精度の高い緻密な治療ができます。結果治療の回数も少なくなります。

自由診療では、1回あたりの治療時間をしっかりと確保できるため、より精密な治療を行うことが可能なのです。

 

保険治療と自費治療では、これらの要素が決定的に異なるため、治療内容や予後が全く異なります。当然ながら、その分自費治療ではコストがかかります。

特に、根管治療ではその差は決定的といえます。

 

初診時レントゲン。噛むと痛むことを主訴に来院。すでに根管治療を行ってあるものの、根管内に薬はほとんど入っていない。根尖部(根の先端)には、黒いレントゲン透過像を認め、根尖病巣の存在を確認できる。このレントゲンを診査した時に、正しく根管治療を行えば90%以上の確率で治せるという診断ができるかどうかが、治療が成功するか否かの鍵となる。

 

治療中レントゲン。治療器具による歯根の長さと方向の確認を行っている。

 

根管充填直後。初診時の症状は完全に改善した。レントゲン上で歯根の先端までしっかりと白い薬が入っているのが分かる(バイオセラミック・シーラーを使用)。この時点ではまだ根尖部の病巣(黒いレントゲン透過像)は消えていない。正しく根管治療がなされれば、ほとんどの根尖病巣は徐々に治癒へと向かう。バイオセラミック・シーラーは、従来の根管充填材と比較して明らかに予後が良い。特に根管充填後の痛みは極めて少ない。この後、ファイバーコアにて支台築造(土台の補強)を行い、クラウンによる補綴(ほてつ)を行う。根管治療の予後は、実は補綴の精密さによる影響を受ける。きちんと根管治療を行っても、補綴が悪いと、根管治療の予後も悪くなることが分かっている。

 

根管治療1年後。根尖部のレントゲン透過像は消失し、根尖病巣は完全に治癒している。術前のレントゲンと比較すれば、その差は歴然であろう。

 

ご自身の歯を長く良い状態で持たせるために、根管治療でも自費治療という選択があることを多くの方に知っていただければ幸いです。

治療費:精密根管治療¥99,000

ファイバーコア¥22,000

オールセラミッククラウン¥132,000

治療期間:2か月

治療上のリスク:根管治療の治癒率は100%ではありません。治療期間中は一過性に歯茎の腫れや痛みを生じることがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

しっかり根管充填出来ているものは、再根管治療を行っても成功率が明らかに低い!~外科的歯内療法の選択~

我が国の保険診療での根管治療の成功率は、」統計上50~30%と言われています。

つまり10本の歯の根管治療をすると、5~7本がうまくいかないということになります。

根管治療は、初回治療つまり抜髄(ばつずい:歯の神経を取ること)での治療の成功率が最も高く、再治療になると有意に成功率が下がります。

特に、根尖(歯根の先端)が破壊されているものでは成功率が大きく下がり、その成功率は自費診療でさえ40%程度と考えられています。

 

初診時レントゲン。歯の痛みと歯茎の腫脹を主訴に来院。すでに根管治療がされており、根尖部までしっかりと薬が詰まっている。再治療を繰り返し行ったため、根管はかなり太く削られていて歯質が薄く、歯根破折やひび割れのリスクは高い。根尖部には黒い大きなレントゲン透過像を認める。このように、しっかりと根管充填されているにも関わらず根尖病巣が治癒しないものは、再根管治療を行っても成功率が低いことが統計上明らかである。

初診時CT画像。根尖部までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。治療法は2通り。➀再根管治療を行い、予後が悪ければ外科的歯内療法(嚢胞摘出もしくは歯根端切除・逆根管充填)を行う②再根管治療は行わず、はじめから外科的歯内療法(歯根端切除・逆根管充填)を行う。まずは再根管を試みることとした。

術中レントゲン。古い根管充填材を完全に取り除き、歯根の長さと方向を確認する。小指の爪ほどの大きさの病巣(骨吸収)を認める。

根管充填直後レントゲン。根尖までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。何回か根管洗浄・消毒を行うものの、歯茎の腫脹および根管からの排膿が完全に治まらなかったため、可及的に膿を吸い取って洗浄・消毒を行い、根管充填を行った。同日に歯根嚢胞と思われる根尖病変を外科的に切除・摘出した。

根管治療1年後レントゲン。根尖部の黒い透過像はほぼ消失し、根尖病巣が治癒しているのが分かる。根管治療で治癒しない根尖病巣は、歯根端切除をせずに病巣を切除・摘出するだけで治癒するケースもある。

同CT画像。根尖病巣が治癒し、歯槽骨が再生しているのが3次元的にも分かる。

 

根管治療の治癒率は、専門医が行っても100%ではありません。

特に再治療での成功率は有意に低くなるため、外科的歯内療法の併用が有効です。

専門医が行うマイクロスコープを使用した歯根端切除・逆根管充填の成功率は、90%以上であり、成功率が非常に高いことが分かっています。

しかしながら、根尖病巣を外科的に切除・摘出するだけで、歯根端切除・逆根管充填を行わなくても治癒するケースもあります。

患者さんの意向をくみ取りつつ、どのように治療計画を組み立てていくのか、難しい症例こそ歯科医師の知識や技量が試されるのです。

治療費用:精密根管治療 前歯¥77,000

根尖掻爬(ソウハ)、嚢胞摘出¥22,000

治療期間:2か月

治療上のリスク;根管治療および外科的歯内療法の成功率は100%ではありません。治療により、一時的には茎の腫れや歯の痛みを生じることがあります。

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歯性上顎洞炎の原因歯は、本当に抜歯するしかないのか?~根管治療を行ってもすぐに治癒しないこともある~

虫歯が原因で副鼻腔炎(上顎洞炎)になることは、臨床上珍しくありません。

これを歯性上顎洞炎と呼びます。

以前に根管治療を行った歯や、大きな虫歯治療を行った歯では、歯の内部にバクテリアが入ったり、歯の神経が自然死(壊死)してしまうことがあります。

歯の内部に残ったバクテリアは毒素を産生し、また壊死した歯髄組織が腐敗して、これらが歯根の先から骨の内部に漏れ出します。

毒素や壊死組織は、歯槽骨や歯周組織を徐々に破壊していきます。

上顎の奥歯は、上顎洞のすぐ下にあるため、歯の化膿性炎症は容易に歯性上顎洞炎を引き起こします。

臨床的には、歯の痛み、咬合痛、後鼻漏、異臭、片頭痛、頬部痛、目の奥が痛むなどの症状を呈します。

まず、上顎洞炎の原因が歯にあるのか、鼻にあるのかを鑑別する必要があります。

このたには、CT撮影が必須となります。

一般的に、鼻性の上顎洞炎は歯に問題が無くて、両側性に発症することが多く、歯性の上顎洞炎は原因となる歯の側(片側性)に発症します。

 

初診時レントゲン。左側臼歯部の痛みおよび後鼻漏、異臭を主訴に来院。左側上顎第一大臼歯はすでに根管治療がされているが、根管充填の状態は不良。根尖部には黒いレントゲン透過像を認める。

初診時CT画像。左側上顎洞の内部(矢印)は白く濁っており、上顎洞炎の所見を呈する。第一大臼歯の根管充填は不十分で、根尖部に骨破壊像を認める。右側の上顎洞は健常であることから、歯性上顎洞炎が疑われた。

根管充填後レントゲン。根管内部が完全にきれいになり、歯の痛みや排膿なども認められなかったことから、根管充填を行った。薬が根尖までしっかりと充填されているのが分かる。

根管充填直後CT画像。依然として上顎洞の内部は白く濁っており、上顎洞炎の改善は認められない。後鼻漏もまだ完全に改善しておらず、耳鼻科での投薬治療は引き続き行っていく。

根管治療7か月後。第一大臼歯の根尖病巣は縮小し、上顎洞内部は黒い正常像を呈する。上顎洞炎は完全に治癒している。

 

歯性上顎洞炎は、根管治療後速やかに治癒するものと、なかなか治癒しないものがあります。

根管治療だけで治癒しない場合には、耳鼻科での治療も併用する必要があります。

きちんと正しく根管治療を行った上で、長期的な経過を観察することも珍しくありません。

いきなり耳鼻科で手術をしたり、外科的歯内療法をしているケースも時々見かけますが、原因を取り除かなければ上顎洞炎は再発してしまいます。

歯周病が原因の歯性上顎洞炎では、当該歯の抜歯が適応になります。

まずは、根管治療に精通している歯科医院でご相談されることをお勧めいたします。

 

治療費:精密根管治療¥99,000/1本

治療期間:3カ月

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。根管治療で治癒しない場合は、外科的歯内療法もしくは抜歯の適応となることがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

外傷による変色歯をセラミックとデュアルホワイトニングで白く輝く歯に!

歯を強く打つなどの外傷で、歯が変色を起こすことがしばしばあります。

これは、歯の内部にある歯髄(神経)が壊死してしまうために起こります。

歯髄壊死を放置しておくと、歯の変色だけでなく、歯根の先の骨が溶けて膿を持つようになるため注意が必要です。

このような場合、まずは歯の根管治療が必要になります。

 

初診時。左側中切歯(矢印:向かって右)の変色を主訴に来院。外傷により歯冠の1/3が破折しており、コンポジットレジンにて修復がしてある。歯とコンポジットレジンの変色により、審美的な問題を起こしている。歯髄壊死が疑われた。

 

初診時レントゲン。左側中切歯の根尖部は小指頭大の黒いレントゲン透過像を認め、歯髄壊死と診断した。まずは感染根管治療を行うこととした。

 

ファイル試適。歯根の長さと方向を確認する。

 

根管内部を完全に清掃・消毒し、バイオセラミックシーラーにて根管充填を行った。根尖部までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。

 

患者さんの希望により、根管治療終了後デュアルホワイトニングを行う。

 

デュアルホワイトニング後。オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを合わせて行うことにより、それぞれの特性の良さが相まって、高い漂白効果が得らている。

 

治療後。左側中切歯をオールセラミッククラウンにて補綴(ほてつ)を行った。主訴である審美障害は改善され、白く輝く美し口元になった。

 

日本人は、欧米人に比べて歯の表層を覆っているエナメル質が薄く、内部構造であるやや褐色味がかった象牙質が透けて見えるため、歯の色味が少し黄色く見えます。

このため、前歯の治療を行う際に合わせてホワイトニングを希望される方は少なくありません。

治療にホワイトニングを取り入れることで、口元の審美性や清潔感は格段に向上し、お顔の表情まで明るく見え、笑顔にも自信が表れるようになります。

 

しかしながら、セラミックは色の経年変化が起こらないのに対し、ホワイトニングを行った自分の歯は経時的に色の後戻りを生じます。

このため、ホワイトニングとセラミック治療を合わせて行った場合は、定期的にホワイトニングを行っていかないと、セラミックだけが白く浮いてしまうようになります。

もし、継続的なホワイトニングのメンテナンスが面倒と感じるようでしたら、ホワイトニングは行わず、変色歯の治療だけを行う方が得策でしょう。

ご自身に合った治療法を選択することがとても重要です。

治療費:精密根管治療¥77,000(前歯)

ファイバーコア¥22,000

オールセラミッククラウン¥132,000

デュアルホワイトニング¥47,500

治療期間:2か月

治療におけるリスク:根管治療の治癒率は100%ではありません。セラミックの歯で硬いものを噛むと、稀に破折することがあります。ホワイトニングは色の後戻りを起こします。歯や歯周組織をより良い状態を保つためには、定期的なメンテナンスが必要です。

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日付:  カテゴリ:コラム, ホワイトニング, 審美歯科, 根管治療

難治性の根尖病巣の治療法・外科的歯内療法~歯根端切除と逆根管充填は同時に行う必要がある!~

根尖病巣がある場合、基本的に根管治療が治療法の第一選択となります。

しかしながら、様々な条件により再根管治療ができない、あるいは再根管治療では治癒しない場合があります。

例えば

●太くて長いコア(土台・支柱)が入っており、外すことが出来ない

●根尖部でファイルなどの器具が破折していて、除去できない

●根尖部でパーフォレーション(穿孔:せんこう、人為的に穴が開いている)している

●根尖部で根管が石灰化しており、根尖まで清掃・消毒ができない

●側枝(歯の神経の横穴)があり、治癒しない

●被せ物を入れたばかりで、外すことを患者さんが望まない

●被せ物が繋がっており、外すことが出来ない

●すでに歯根端切除がしてある歯の根尖病巣の再発

など

このような場合には、外科的歯内療法(歯根端切除および逆根管充填)が適応になります。

 

初診時レントゲン。上顎右側1番に痛みと歯茎の腫れを訴えて来院。当該部は隣の歯と2本繋がって被せ物が装着してある。歯根の長さが左右非対称で、当該歯は反対側と比べて明らかに短く、根尖部(歯根の先端)は水平的に切断されている。根管充填は不十分で、根尖部には根尖病巣と思われる黒いレントゲン透過像を認める(矢印)。被せ物を外して再根管治療を行うことは、抜歯になるリスクが高いケース。患者さんと相談し、外科的歯内療法(歯根端切除および逆根管充填)を行うこととした。

 

術前CT画像。根尖部の骨は吸収し、黒いCT透過像を認めている(矢印)。問診において、過去に歯根端切除を受けていることを確認した。根管治療がきちんと出来ていない場合、歯根端切除だけをしても根尖病巣は治癒しない可能性が高い。

 

根管治療がきちんと出来ていない場合、根管内にはバクテリアおよび腐敗組織が残存しています。

しかも、ほとんどの場合において、根管内に詰められている根管充填材は疎で、緊密に詰まっていません。

このような状況下で歯根端切除だけを行っても、バクテリアや腐敗組織な無くならず、その後も炎症を起こし続けます。

さらに、保険制度の悪いことに、歯根端切除の保険点数は比較的高めであるため、より難しく手間がかかうえ、点数の低い再根管治療をきとんと行おうという歯科医師は少数派になってしまいます。

 

現在、歯根端切除をした場合には、歯根の先端から根管内を超音波で清掃してMTAセメントを詰める逆根管充填をセットで行うことがグローバルスタンダードとなっています(解剖学的に、大臼歯部では逆根管充填が出来ないことも少なくない)。

これを正確に行うためには、マイクロスコープやMTAなどをはじめ、専用の器具や薬剤、専門的で高度な知識や技術が必要になります。

保険では、歯根端切除は必ずしも逆根管充填を行うことを要件としておらず、MTAなどの予後の良いとされる薬剤の使用も出来ません。

したがって、保険で行う歯根端切除は予後が悪いのです。

 

外科的歯内療法の術後6か月。過去に一度歯根端切除が施術されているため、さらなる歯根端切除は歯根長がかなり短くなって歯の寿命に直結する。このため、根尖部の削除は最小限におこない、MTAにて逆根管充填を行った。根尖部には歯槽硬線(白線)を認め、骨の再生がうかがえる。歯の痛みや歯茎の腫れは完全に消失している。

 

術後6か月CT画像。術前にあった根尖部のCT透過像は顕著に縮小し、骨が再生していることが分かる。

 

本来、はじめから自費でしっかりと根管治療を行っておけば、根尖病巣を生じる可能性は低いのです。

しかしながら、多くの患者さんは根管治療の難しさや保険制度の限界、自費という治療法の選択肢をご存じありません。

多くの方が、かかりつけ医での治療がうまくいかず、抜歯を宣告されてからネットで調べてはじめてこれらの真実を知ることになります。

歯で思い悩む前に、どうか根管治療の重要性や治療の難しさを知っていただきたいと切に願っています。

治療費:歯根端切除・逆根管充填:¥55,000/1根

治療期間:2週間

治療におけるリスク:外科的処置なので、術後に腫れや痛み、内出血を生じることがあります。治癒率は100%でありません。大臼歯部では、解剖学的要件により適応とならないことがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

根尖病巣は放置してはいけない!~根尖病巣は歯根吸収を惹起する~

根管治療を行ったり、虫歯や外傷の影響で歯髄壊死になると、根尖病巣を生じることがあります。

根尖病巣は、適切な根管治療を行えば治癒する可能性が高いです。

しかしながら、根尖病巣が生じたまま治療をせずに長期間放置してしまうと、根尖(こんせん;歯根の先端)が溶けて吸収を起こし、根管治療の難易度を高くしてしまいます。

 

根管治療では、根管の内部をきれいに清掃・消毒をしたうえで、根尖までしっかりとお薬を詰めます(これを根管充填という)。

根管充填をする際に重要なのは、お薬を根尖まで過不足なく詰めることです。

もし、根尖が歯根吸収を起こしていると、根尖でお薬が止まらず、根尖から外に突き出てしまいます(これをオーバー根充という)。

お薬が根尖から突き出てしまうオーバー根充は、お薬が根尖まで足りないアンダー根充に比べて予後が悪いというエビデンスがあります。

 

 

治療前レントゲン。矯正治療に起因する歯髄壊死。下顎前歯の根尖部に根尖病巣による黒いレントゲン透過像を認める。矢印の根尖部は歯根吸収を起こしている。

 

根管の長さと方向を確認する。

 

根管充填時レントゲン。白い薬が根尖でピッタリと止まっているとが分かる。

 

歯根吸収を生じている歯の場合、お薬が根尖でぴったりと止まりにくく、オーバー根充になるリスクが高くなります。

しかし、オーバー根充を恐れると、今度はアンダー根充になってしまうのです。

基本的には、根管充填は根尖ピッタリまで行うことが理想です。

歯根吸収のある歯は、このピッタリ根充をすることが非常に難しいのです。

根尖病巣を長期に放置すると、歯根吸収を生じる可能性が高くなり、根管治療の成功率に影響します。

可能な限り、根尖病巣がある歯は早めに根管治療を行った方が良いでしょう。

 

治療費:精密根管治療(前歯/1歯)¥77,000

治療期間:3週間

治療によるリスク:治療により一時的に痛みや歯茎の腫れを生じることがあります。根管治療の成功率は100%ではありません。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

不良根管治療が原因となる歯性上顎洞炎~副鼻腔炎の手術を受ける前に~

上顎の奥歯の上方、眼窩の下方には、上顎洞と呼ばれる副鼻腔があります。

上顎の奥歯の根管治療がきちんとされていないと、歯根の先端から上顎に感染症が波及して、歯が原因の上顎洞炎(歯性上顎洞炎)を生じます。

症状は、歯の痛みや歯茎・頬の腫れ、咬合痛、振動による痛み(階段の上り下りや走ったりすると痛む)、鼻閉、後鼻漏、頭痛、頬部痛、悪臭などがあります。

鼻の症状のため、耳鼻科にかかられる方が多いですが、歯は原因の場合には当然歯を治療しなければ治りません。

歯に原因があるにも関わらず、歯を治療せずに耳鼻科で手術を勧められることも多々あるようです。

耳鼻科の先生の中にも、歯性上顎洞炎の診断が出来ていない方がいらっしゃるので、注意が必要です。

 

初診時レントゲン。右側上顎の強い痛みを訴えて来院。右上第二小臼歯は根管治療してあるものの、治療は不十分で、根尖部には黒いレントゲン透過像を認める。

 

初診時CT画像。根管充填が不十分で、根尖部に根尖病巣による黒いCT透過像を認める(黄色矢印)。上顎洞は上方まで白い不透過性を呈し、上顎洞全体に炎症所見を認めている(赤矢印)。歯が原因となっている典型的な歯性上顎洞炎であると診断し、感染根管治療を行うこととした。

 

根管の中にファイルを挿入し、根管の長さと方向を確認している。

 

根管充填後レントゲン。根尖まで緊密に薬が詰まっているのが分かる。

 

根管充填後CT画像。根尖部のCT透過像は完全に消失して歯槽骨の再生を認める(黄色矢印)。上顎洞の内部は炎症が消失し、正常な黒い含気腔を呈している(赤矢印)。術前の症状はすべて完全に治癒した。

 

歯に原因がある場合、先に耳鼻科での手術を行うことは得策ではありません。

鼻の手術をしても、副鼻腔炎の原因が歯にあっては治りません。

まず、必ず歯に異常がないか確認をし、歯に問題が無いことを確認してから耳鼻科的な手術を行うべきです。

この順番を間違えてはいけません。

歯の治療をきちんと正しく行っても治らない上顎洞炎は、耳鼻科での加療もしくは原因歯の抜歯が必要です。

副鼻腔炎の手術をお受けになる方は、まず歯に問題がないか、設備の整った歯科医院できちんと診査を受けましょう。

 

精密根管治療:小臼歯¥88,000

治療期間:1か月

治療によるリスク:根管治療の治癒率は100%ではありません。治療中、一時的に痛みや腫れを生じることがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 未分類, 根管治療

我が国の保険の根管治療では、歯は長く残らない!~歯の治療は急いではいけない~

我が国の保険の歯の治療は、治療の質がまったく担保されておらず、治療したという実績だけで評価される出来高払いです。

きちんと治療してもそうでなくても、治療費は全国一律です。

ベテランから駆け出しの歯科医師まで、すべて同じ治療費となっています。

 

治療を受ける側の患者さんは、費用が安く済むことは歓迎すべきことだと思いますが、治療の質にはあまり関心は無いのでしょうか?

そんなことはありません。

歯の治療は、保険が効くのが通常だと思っているだけで、実際にはほとんどの患者さんが良い治療を受けたいと考えています。

実は、保険以外の治療があることを知らないだけなのです。

 

歯の詰め物や被せ物などは、白くて綺麗なセラミックや、強度が高くて耐久性の良いゴールドなどの自費治療があることはよく知っています。

しかしながら、根管治療に自費の治療があることを知っている人はほとんどいません。

そのため、虫歯の治療の延長である根管治療も、必然的に保険での治療になるのです。

 

初診時レントゲン。左下の奥歯の歯茎の腫れを主訴に来院。保険の根管治療はこのくらいのレベルであることがほとんど。根管充填が不十分で、根尖から根分岐部にかけて、黒いレントゲン透過像を認める。根管治療の不良による慢性根尖性歯周炎(根尖病巣)と診断し、再根管治療を行うこととした。

 

ファイルによる作業長(根管の長さ)の測定。根分岐部の骨が溶けているのが良く分かる。

 

根管充填直後。根尖までしっかりと薬が詰まっているのが分かる。

 

治療7か月後。オールセラミッククラウンで補綴した。根尖部~根分岐部にかけて存在していた黒いレントゲン透過像は消失し、顕著な骨の再生を認める。

 

根管治療は、一番最初に行う治療が肝心で、ここで治療が上手くいかないと、その後のやり直しの治療の成功率は大幅に低下します。

歯の治療は、もちろん見た目も大事ですが、それ以上に内部の治療が重要なのです。

いくら高価で良い被せ物を入れても、中から腐ってダメになってしまえば、その被せ物は壊さなくてはならなくなりますし、やがては抜歯になってしまいます。

 

歯の治療を受ける場合、初診で受診した当日での処置はなるべく控えるのがベストです。(痛みが強く日常生活で支障がある場合は例外です)

初診時は、緊張していたり、歯や歯茎の痛みや腫れがあることから、治療を早く受けなければいけないと思いがちで、冷静な判断が出来ないことが少なくありません。

まずは、自分の歯や歯周組織がどのような状態で、どのような治療が必要なのか、どのような選択肢があるのか、治療法や使用する材料のメリット・デメリットはどうかなど、よく吟味する必要があります。

もちろん、保険の治療を選択するのか、自費での治療を選択するのか、予算はどうするのかなど、決めなければいけないことが沢山あるのです。

まずは、冷静になってよく考えてから治療をお受けになることをお勧めいたします。

 

治療費:精密根管治療(大臼歯)¥99,000

ファイバーコア¥22,000

セラミッククラウン¥132,000

治療期間:2か月

治療のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。補綴後、きちんとメンテナンスを行わないと、虫歯や歯周病に罹患することがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

虫歯による歯髄壊死から生じた大きな根尖病巣~インフォームドコンセントの重要性~

歯科医師は、なるべく深い虫歯であっても、極力歯の神経を温存するように努めます。

これは、歯の神経は歯に栄養を供給しており、神経が無くなることで歯が枯れ木のように脆くなることを知っているからです。

神経が無くなった脆くなった歯は、将来破折やひび割れを起こし、抜歯になるリスクが高くなります。

また、歯の神経の治療である根管治療をどんなに精密に行ったとしても、治療の成功率は決して100%ではなく、将来歯根の先端に根尖病巣と呼ばれる炎症を生じる可能性もあります。

しかし、深く大きな虫歯の場合、歯の神経を温存した治療をした後、しばらくして神経が失活して壊死してしまう(死んでしまう)ことがあります。

これを歯髄壊死(しずいえし)と呼んでいます。

 

初診時レントゲン。右側下顎小臼歯部の歯茎の腫れと痛みを主訴に来院。下顎犬歯~第一小臼歯の根尖部にかけて黒く大きなレントゲン透過像を認める。第一小臼歯には大きな虫歯の治療跡とみられるコンポジットレジンが充填されている。

 

初診時CT画像。第一小臼歯を中心として、隣在歯におよぶ大きな黒いCT透過像を認める(矢印)。電気歯髄診にて、犬歯および第二小臼歯は生活反応を認め(生きている)、第一小臼歯は生活反応を認めなかった。このため、第一小臼歯の虫歯治療後に生じた歯髄壊死と診断し、根管治療を行うこととした。

 

根管充填後レントゲン。根尖まで白く緊密に薬が詰まっているのが分かる。

 

根管治療9か月後。第一小臼歯根尖部の黒いレントゲン透過像はほぼ消失し、骨が再生してきていることがうかがえる。

 

治療後9か月後CT画像。歯槽骨の再生により、術前にあった根尖部の透過像が無くなっているのがよく分かる。術前の診査による原因歯の特定が、治療上極めて重要となる。

 

その時々で最善と思われる処置を行ったとしても、歯髄壊死が起こることは不可抗力であり、状況の厳しい虫歯の治療を行った場合には起こる可能性があります。

治療後、痛みや歯髄壊死が生じることがある程度予測されるくらい深い虫歯だとしても、歯の神経を残せる可能性があるのであれば、それをトライすることは臨床上しばしばあります。

ただ、このような状況の場合には、事前に患者様に治療の予後について説明をしておくことが必要でしょう。

患者様によっては、説明をお聞きになった上で、無理に神経を残さず予め根管治療を選択されたい方もいるかもしれないからです。

 

しかしながら、やはり多くの患者様は、たとえ治療が2度手間になったとしても、歯の神経をなるべく温存することを希望されます。

インフォームドコンセントがしっかりとなされていれば、仮に治療後に歯髄壊死になってしまい根管治療が必要になったとしても、治療結果に不満を抱くことはほとんどありません。

治療法を自分自身の責任において選択したのですから。

でも、このようなやり取りを患医で行うことは、わが国の歯科医療ではあまり一般的ではないかもしれません。

医療従事者は、治療に必要な情報を十分に患者様に提供す義務と責任があり、患者様は自身の責任において治療法を選択する権利があるのです。

分からない点があったり、不安なことがあれば、遠慮せずに担当医に説明を求めるようにしましょう。

 

治療費:精密根管治療(小臼歯)¥88,000

治療期間:6週間

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。治療中、一時的に痛みや歯肉の腫脹を生じることがあります。

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