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カテゴリ: 歯科医療提言

我が国の歯の保険治療は、質が問われないから歯がダメになる!~患者さん自身が治療を評価するべき~

我が国は、皆健康保険制度があるため、健康保険料を支払っていれば誰でも1~3割、あるいは自己負担なしで治療を受けることが出来ます。

ひと月に高額な医療費がかかる場合には、高額療養費制度によって一定の限度額以上は払い戻しを受けることが可能です。

この皆健康保険制度は、ある意味で非常に優れた制度で、誰でも安心して治療を受けることができます。

相互扶助の理念のもと、国民がお互いを助け合って医療費を負担し合い、難病の治療や高度な医療、高価な医薬品を利用しても、少ない負担で治療を受けることが出来ます。

 

ところで、医療は、その性質上、治療をすれば必ずしも病気や症状が治ることを保証するすることはできません。

例えば、がんの治療で手術をする場合でも、がんが治ることを確約することはできません。

手術によって、がんを完全に取り除けたとしても、転移している可能性もあれば、再発する可能性もあります。

医師は、最善を尽くして治療をしてくださると思いますが、治ることを保証することはできないのです。

患者にできることは、技術のある信頼できる医師に手術を任せることだけです。

 

一方で、歯科治療が必要な病気のほとんどは、命に関わるような病気ではありません。

このためか、医科に比べると歯科のモラルは未成熟であるように思います。

また、皆健康保険制度での歯科治療の評価は非常に低く、「この治療がこの点数か?」と思うことはしばしばです。これは、ほとんどの歯科医師が感じていることだと思います。

その代表格が、根管治療です。

 

根管治療は、歯の根の中の治療で、歯の治療の中では非常に頻度の高い治療です。

虫歯で歯がしみたり痛くなると、歯の神経を取る処置をします。

これが根管治療ですが、実は根管治療は歯科治療の中でも最も難しい治療のひとつです。

しかしながら、根管治療の健康保険制度での評価は、治療の内容に対して非常に低いと言わざるをえません。

このことを理解している患者さんはほとんどいません。

実際、根管治療の不良や失敗は多く、これが歯を失う原因となっています。

 

医院の経営のことは患者さんには全く関係ありませんが、現実問題として、歯科の保険治療は数をこなして点数を上げなければ、経営が成り立たないのです。

治療の内容(質)が良くても悪くても、与えられる保険点数はまったく同じという矛盾があり、正直者が損をする制度であるため、正しい治療を行おうとする志をもった歯科医師がいなくなってしまいます。

では、根管治療の保険点数を上げれば我が国の根管治療の質が良くなるかというと、決してそうではないでしょう。

これは、モラルの問題をはらんでいるのです。

治療の質を上げるには、究極的には専門医制度を作り、治療の質を患者さん本人に評価してもらう(歯科医師や医院を選んでもらう)ことが必要です。

どのような組織や団体を作っても、利権が生じる以上、歯科医師が歯科医師を正しく評価することは難しいのです。

 

初診時レントゲン。右側下顎第二大臼歯の根管治療の例。歯根は2本あるものの、1本には薬が全く入っておらず、歯根の先端部は化膿して黒く骨が溶け、根尖病巣を生じている。毎日たくさんの患者さんのレントゲンを撮影するが、このような治療例がほとんどで、気分が悪くなる。

 

再根管治療後。根管内の腐敗した物質を取り除き、完全に消毒・洗浄をして根管充填(こんかんじゅうてん;薬を詰めること)を行った。2根とも、歯根の先端まで白い薬がしっかりと充填されているのが分かる。根管治療は奥歯になればなるほど難易度が高くなるが、決して妥協は許されない。これが術前と同じ評価(保険点数)であったとしたなら、著しい不公平であると言わざるを得ない。

 

きちんとした正しい治療を受けるためには、患者さんも受け身であってはいけません。

積極的に情報を収取し、自分の病気のこと、自分が治療を受ける医院の治療実績や理念、歯科医師の経歴なども予め知っておいた方が良いでしょう。

治療に際しては、治療の内容やレントゲン写真の説明などをしっかりとしてもらえる医院であることが重要です。

自分の歯や健康を守るためには、ご自身の努力も惜しんではいけないのです。

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神田の歯医者 神田デンタルケアクリニック

日付:  カテゴリ:コラム, 歯科医療提言

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