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カテゴリ: コラム

上顎前歯の色の改善~ホワイトニングとオールセラミックによる審美的改善~

既に前歯を差し歯などで被せている方で、審美障害を気にしている方は非常に多いと思います。

差し歯は、材質によって変色しやすかったり、歯茎の色が黒くなったりします。

現在では、ほとんどのケースで金属を使わないメタルフリーの被せ物が主流になっており、以前よりも遥かにきれいに被せ物を入れることが出来るようになっています。

それでも、歯茎は年々痩せて下がっていきますし、自分の歯の色味も年齢とともに透明感を増して黄色みが強くなっていきます。

また、保険の被せ物の材質は、白い部分がレジンで出来ており、吸水性があるため年々色味が黄色味を帯びていきます。

このような場合には、セラミッククラウンでの被せ直しを行うことで、白く美しい歯を手に入れることが可能です。

 

初診時口腔内。上顎前歯の差し歯の審美的改善を希望して来院。歯茎が痩せて差し歯と歯茎の境目が黒くなり、作り物であることがあからさまな状態。歯の色味もやや黄色味が強い。まずデュアルホワイトニングで自分の歯を白くし、その後差し歯を白くなった歯の色に合わせてオールセラミッククラウンでやり替えることにした。

 

治療後口腔内。ホワイトニングで明るくなったトーンに合わせてオールセラミッククラウンを装着。自然で明るい口元になった。

 

前歯の治療のやり替えは、その人の表情まで変えてしまうほどの強いインパクトがあります。

ただ、治療をやり替える際に注意していただきたい点は、歯の中の治療、つまり根管治療がきちんとなされているかどうかを歯科医にきちんと診査・診断してもらうことです。

日常臨床でよくあることとして、歯はきれいに入っているものの、根管治療がきちんとなされていないために痛みや歯茎の腫れを生じ、せっかく入れた高価なクラウンをやり替えなければいけなくなるケースです。

これでは、費用が無駄になるばかりか、歯を失うことになりかねません。

治療前にしっかりと担当医とカウンセリングを行うことが、美しい歯を長く持たせるためにはとても重要と言えるでしょう。

 

治療費:オールセラミッククラウン/¥132,000/1歯

デュアルホワイトニング/¥55,000

治療期間:1か月

治療上のリスク:ホワイトニングは徐々に色の後戻りが起こります。セラミッククラウンは硬いものを噛むと欠けることがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, ホワイトニング, 審美歯科

歯性上顎洞炎は自然に治るのか?~歯性上顎洞炎の正しい診断と治療~

歯性上顎洞炎は、歯の感染症で生じる上顎洞(副鼻腔)の炎症を指します。

結論からいうと、歯性上顎洞炎を放置して自然治癒することはありません。

急性症状(痛みや後鼻漏、頭痛、頬部痛、悪臭など)が強い場合には、初期治療として抗生剤の服薬を行います。

抗生剤の服薬で一時的に症状は軽快するかもしれませんが、これはあくまでも対症療法であり、原因除去ではないため炎症が完全に治癒することはありません。

抗生剤の服薬と同時に歯の治療を行い、上顎洞炎の原因になっている口腔内の感染を取り除くことが必ず必要です。

 

初診時レントゲン。左側頬部の鈍痛およびランニング中の振動による不快感を主訴に初診来院。一見、根管充填は良好に行われているように見える。

 

初診時CT画像。近心頬側根の根尖部に根尖病巣と思われる黒いX線透過像を認める(赤⇒)。上方の上顎洞には上顎洞炎と思われる白いX線不透過像を認める。近心頬側根は2根管の頻度が高いものの見落としが多く(MB2)、しばしば歯性上顎洞炎の原因になっている。CT画像上では、MB2の存在が強く疑われる。根尖病巣による歯性上顎洞炎と診断し、再根管治療を行うこととした。

 

再根管治療後レントゲン。近心頬側根のMB2を発見し、清掃消毒後症状が改善したことを確認し、バイオセラミックシーラーにて根管充填を行った。

 

治療終了後CT画像。近心頬側根は2根管存在し、MB2の存在が良く分かる(赤⇒)。根尖部のX線透過像は縮小し、根尖病変は改善している。上顎洞炎は完全に治癒している。

 

治療後レントゲン。歯性上顎洞炎の症状は完全に消失した。

 

歯性上顎洞炎に限らず、病気という結果には必ずその原因があり、原因を取り除かなければ完全に治癒することはありません。

歯が原因の病気は、風邪や怪我などのように自己免疫力による自然治癒は望めません。

このため、歯科治療におけるほとんどの医療行為は治療技術の良否によって予後が左右します。

精密で正しい治療を行うことで、歯の病気は免疫とのバランスによってはじめて自然治癒へと向かいます。

特に根管治療は、術者の技量の差が大きい治療であるため、再治療は専門医による治療をお受けになることをお勧めします。

 

治療費:精密根管治療/¥99,000/大臼歯

治療期間:5カ月(3か月の経過観察期間を含む)

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。歯性上顎洞炎の治療は耳鼻科との連携が必要になることがあります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

根管治療が痛い!なかなか終わらないのはなぜ?~根管治療に対する患者さんの誤解~

根管治療をされている方で、根管治療が痛い、治療がなかなか終わらないと訴える方は非常に多いです。

根管治療が痛いのは、根管治療の際に麻酔をしっかりしないことが挙げられます。

多くの歯科医師は、2回目以降の根管治療の際に麻酔をしません。

仮に、一回目の根管治療で歯髄(歯の神経)を完全に取り除けていたとしても、細い根管の中に器具を挿入するだけで歯根外に圧力が加わります。

また、根管治療時に生じた削りカスによる目詰まりを防止するため、ファイルと呼ばれる治療器具が歯根外に意図的に少し出します。

歯根外は、歯根膜や歯槽骨といった歯以外の組織で、それらの組織の中には神経が通っているため、歯根外に圧力やファイルの刺激が加わることで痛みを生じるのです。

したがって、根管治療における痛みのコントロールを行うためには必ず麻酔が必要です。

しかしながら、保険診療では仮に麻酔をしても保険算定ができず(つまり無料)、麻酔を行う時間もかかるため、麻酔をせずに根管治療を行うことが一般的になっています。

ここで注意しなければいけないのは、繰り返し根管治療で痛み刺激を与えると、痛みに対する閾値が下がるのか、痛みが引きにくくなります。

 

また、根管治療を半年とか1年とか長期で受けている方がしばしばいます。

根管治療は、やればやるほど歯周組織を刺激し、歯は削られて薄くなって強度が無くなり、細菌感染のリスクが高まります。

基本的に、根管治療は短期決戦であるべきで、その方が予後が良いです。

真面目な患者さんほど、きっとこう思うはずです。「痛いからきちんと通い続けないと・・・」

それは実は大きな誤解であり、見切りをつけてセカンドオピニオンを受けるべきでしょう。

 

 

初診時レントゲン。他院で1年以上かけて根管治療を行っているが痛みや歯茎の腫れが引かずに来院。元々は歯髄が生きていた生活歯の抜髄を行ったケース(イニシャルトリート)。同時に3本もの歯を抜髄して長期に根管治療を行う診断に問題があると言わざるを得ない。患者さんは心身ともに疲弊し、歯科治療への不信が高まってしまうのも無理はない。まずは、現状の説明と解決策を提示し、歯科治療への不安を取り除くところから治療が始める。

 

根管充填後レントゲン。歯の痛みや歯茎の腫れが改善したため、バイオセラミックシーラーおよびガッタパーチャにて根管充填を行った。根管治療は2回、2週間で終了。

 

治療後レントゲン。適切な補綴(被せ物)により治療を終了。的確な診断および治療を行うことで、長年の悩みから解放された。我々は、無暗に患者さんの大切な人生の時間を奪ってはいけない。

 

根管治療はきちんと出来ていて画像診断でも問題が無いにもかかわらず、長期に痛みを訴える方が時々います。

このような場合には、非歯原性歯痛や三叉神経痛を疑う必要があり、薬物治療の対象になる可能性を視野に入れ、適切な医療機関への紹介が妥当です。

もし仮に正しくきちんと根管治療を行っても予後が悪いようであれば、それはもう根管治療の適応ではなく、外科的歯内療法(歯根端切除)や意図的再植、或いは抜歯の適応なのです。

治療費:精密根管治療/¥77,000/前歯、¥88,000/小臼歯

治療期間:2週間

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

歯性上顎洞炎の治療~まずは根管治療の専門医へ~

歯性上顎洞炎は、上顎臼歯(奥歯)に慢性の炎症が原因で生じる副鼻腔炎です。

原因として多いのは

①慢性根尖性歯周炎(根尖病巣)

②歯根破折

③慢性辺縁性歯周炎(歯周病)

の3つです。

これらの問題が無く、歯根の周りに炎症による骨吸収を認めない場合、それは鼻性の上顎洞炎ということになります。

耳鼻科では、片側性の上顎洞炎があると、歯性上顎洞炎という診断を受けることがありますが、それは正しくありません。

鼻性の上顎洞炎であっても、片側性に生じるものがあるのです。

耳鼻科で行うCT撮影は範囲が広いため、歯と上顎洞炎との関連性を見極めるのは不十分で、正確に診断を行うためには歯科でのCT撮影が必須です。

 

右側上顎第一大臼歯の初診時レントゲン。他院にて根管治療を行っているが良くならず、歯がひびく、黄色い鼻水が続いているとのこと。耳鼻科にて歯性上顎洞炎の診断を受ける。

 

初診時CT画像。上顎洞に当該歯の部位に一致するX線不透過性の亢進を認める。繰り返し根管治療を行ったためか、根尖部は破壊されて太く開いている。また、湾曲した根管を何度も治療を行ったため、根尖部のパーフォレーションを認めた。

 

根管充填後レントゲン。症状が軽快したのでバイオセラミックシーラーとガッタパーチャにて根管充填を行った。根尖までしっかりと薬が入っているのが分かる。

 

同CT画像。上顎洞のX線不透過部は消失し、上顎洞炎が治癒しているのが分かる。

 

治療後レントゲン。初診時の症状は完全に消失し治癒した。被せ物の適合は根管治療の予後に影響するので、しっかりとフィットする被せ物を装着することが重要。

 

上顎大臼歯部の根尖病巣は、歯性上顎洞炎を生じる危険が極めて高いです。

かなりトレーニングされた歯科医師でなければ、上顎大臼歯の根管治療を完全に行うことは難しいでしょう。

特に再根管治療は難易度が高いため、はじめから自費での精密根管治療をお受けになることをお勧めします。

治療費:精密根管治療/¥99,000/大臼歯

ファイバーコア/¥22,000

オールセラミッククラウン/¥132,000

(治療当時)

治療期間:3カ月

治療上のリスク:根管治療の成功率は100%ではありません。耳鼻科との連携診療が必要な場合があります。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

前歯の差し歯のブラックマージン~ジルコニア・オールセラミックによる審美修復~

差し歯とは、神経を取った歯に被せ物を入れた被せ物のことを指します。

差し歯に限らず、歯茎は年齢とともに少なからず退縮を起こします。

特に歯茎の厚みが薄いヒトは退縮を起こしやすく、治療後早期に差し歯の縁が露出して見え、ブラックマージンを呈します。

このブラックマージンは、為害性は無いものの、上顎前歯のような人目に付きやすい部位では、しばしば審美的に問題になります。

 

初診時口腔内。左側側切歯(⇒)のブラックマージンを主訴に来院。セラミッククラウンの色も透明感が無く、審美的な改善を希望。

 

装着してあるセラミッククラウンが不適合のため、歯茎に炎症を認める。

 

初診時レントゲン。根管充填がプアなため、根尖病巣を生じている。まずは再根管治療が必要と判断。たとえ高価な被せ物を被せても、根管治療に問題があると、いずれ再治療を行うか、いずれ抜歯になることに注意が必要。

 

再根管治療後レントゲン。バイオセラミックとガッタパーチャによる根管充填を行った。根尖部まで緊密に薬が入っているのが分かる。このようにしっかりと根管治療を行うことで、安心して歯を被せることが出来る。

 

ジルコニアオールセラミッククラウンによる再補綴を行った。当然ながら、歯肉圧排(2重圧排)とシリコン印象による精密印象を行っている。

 

歯の色合い、歯茎の反応も良く、自然な感じで仕上がっている。

 

歯の治療は、一つ一つの手技を妥協無く行ってはじめて長期的に安定した予後が約束されます。

特に、根管治療の良否は患者さんに分かり難い部分なので、術前術後のレントゲンによる説明、確認は必ず受けるようにしましょう。

 

治療費:精密根管治療 ¥110,000/前歯

ファイバーコア ¥22,000

ジルコニアオールセラミッククラウン ¥132,000

(治療当時)

治療期間;1カ月

治療上のリスク;セラミックは硬いものを噛むと欠けることがあります。

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歯髄壊死による難治性の根尖病変を、根管治療と外科的歯内療法で完治させた症例

虫歯や外傷で歯の歯髄(神経)が自然死してしまう歯髄壊死。

病巣が生じて初期のものは、そのほとんどが適切な根管治療を行うことで根尖病巣は治癒します。

しかしながら、根尖病巣を生じてから長期に放置して未治療の場合、難治性の歯根肉芽腫や歯根嚢胞となり、根管治療だけでは治りにくくなることが少なくありません。

このような場合には、外科的に根尖病巣を取り除く必要が出てきます。

 

初診時レントゲン。上顎前歯の歯茎の腫れを主訴に来院。歯冠部に白い大きなレジン充填の跡が見られ、根尖部に黒いX線透過像を認める。

 

初診時CT画像。根尖部に境界明瞭な直径1㎝ほどの黒いX線透過像を認める。虫歯治療後の歯髄壊死および根尖性歯周炎と診断し、感染根管治療を行うこととした。

 

数回の根管治療を行ったにもかかわらず、根尖部の圧痛は消失したものの排膿が止まらず、難治性の根尖病変と判断し根尖病変を外科的に切除した上で根管充填を行った。(歯根端切除は行っていない)

 

根管充填後6か月のレントゲン。根尖部の黒いX線透過像は完全に消失している。

 

同CT画像。根尖部のX線透過像は完全に消失し、骨が再生し完治している。難治性の根尖病巣であっても、必ずしも歯根端切除が必要ではないことが分かる。

 

難治性の根尖病変でも、適切に外科的歯内療法を行えば高い確率で治癒することが分かっています。

外科的歯内療法を成功せサるためには、きちんと根管治療が行われていること、そして適合の良い補綴物や充填物を装着することが前提となります。

根管治療を何回も行っても治らない場合は、見切りをつけて外科的歯内療法に移行する必要があるでしょう。

治療費:精密根管治療¥110,000/前歯

嚢胞摘出¥22,000

コンポジット充填¥11,000

治療期間:6か月

治療上のリスク:根管治療および外科的歯内療法の成功率は100%ではありません。

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歯周病による歯列不正~歯周病でも矯正治療は可能か?~

歯周病は、歯を支える歯槽骨が溶ける病気です。

初期症状としてまず歯肉の腫脹や出血が起こり、やがて歯槽骨の吸収が進むと歯の動揺(ぐらつき)やフードインパクションン(食片圧入;食べ物が詰まる)、そして歯の移動に伴う歯列不正や咬合痛を生じるようになります。

歯周病が進行して歯の動揺が強くなると、歯はいろいろな方向に移動するようになります。

その結果、すきっ歯や乱杭歯(叢生)、出っ歯(前突)など様々な歯列不正を引き起こし、しばしば審美的機能的に問題となります。

では、歯周病になってしまうと、この歯列不正は改善するすることは出来るのでしょうか?

結論からすると、きちんと歯周病を治療して管理し、歯のぐらつきが酷くなければ矯正治療を受けることは可能です。

 

矯正治療前口腔内。歯周病により歯列不正を生じた30代女性。歯周病が進行していたため、全顎的な歯周初期治療および歯周外科処置(フラップ手術)を行った。右側下顎第一大臼歯は保存不可能であったため抜歯となった。上下前歯部は叢生(乱杭歯、クラウディング)を生じ、審美的にも機能的にも問題がある。歯列矯正を行うと、口腔内清掃が難しくなるため、治療前に正しいブラシイングの方法と習慣をきちんと身につけておく必要がある。また虫歯や根尖病巣がある場合には、矯正治療に伴い病状が進行するため、あらかじめ治療を済ませておく。

 

歯周病による歯列不正の矯正治療後。上下前歯部の叢生は改善し、左右対称の美しい歯列になった。欠損していた右側下顎第一大臼歯は、インプラントにて欠損補綴を行った。歯周病の矯正治療後では、歯の支持歯槽骨の減少により歯並びの後戻りを生じやすいため、厳密に長期間保定を行う必要がある。本症例ではワイヤー(FIX)にて保定を行った。

 

歯周病に罹患し、歯並びが悪くなって悩んでいる方は少なくないと思います。

歯周病であっても、歯列矯正を行うことは可能です。

歯列矯正を受けるには、虫歯、歯周病、歯の欠損などあらゆる口腔内の問題を改善しておく必要があります。

したがって、一般歯科医との連携は不可欠です。

また、歯周病の方の場合、歯をマイルドに優しい力で動かす必要があるため、治療期間が長くなる傾向があります。

矯正治療を受ける際には、治療計画について事前に担当医とよく相談をすることが重要です。

 

治療費用:歯列矯正¥880,000

治療期間:2年

治療上のリスク:きちんと保定を行わないと歯列の後戻りを生じることがあります。

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外科的歯内療法による根尖病巣(根尖性歯周炎)の治し方

レントゲン上で根尖部(歯根の先端)の骨が溶けているものを総じて根尖病巣(根尖性歯周炎)と呼んでいます。

この根尖病巣は、歯の内部の細菌感染や腐敗物質が原因です。

根尖病巣(根尖性歯周炎)のある歯の治療の第一選択は、再根管治療です。

以前の根管治療がきちんとされているにもかかわらず根尖病巣が出来ている場合、きちんと治療されていない場合よりも治りにくい傾向があります。

したがって、再根管治療を行う場合、すでにしてある根管治療(根管充填)の状態の良否は、治療計画を立てる際に非常に重要な診断要素となります。

また、再根管治療を行っても治る見込みが少ない場合、或いは再根管治療を行うことで歯根破折やパーフォレーション(穿孔)を生じるリスクが大きい場合には、外科的歯内療法を選択します。

すでに歯根に入っているポストコア(土台)の長さや太さは、再根管治療を行うか外科的歯内療法を行うかのひとつの判断材料になります。ポストコアを外すのは、非常に危険でリスクの高い治療だからです。

 

初診時レントゲン。上顎左右中切歯の根尖には、根尖病巣と思われる黒い骨吸収像を認める(黄⇒)。右側(向かって左)中切歯にはサイナストラクト(フィステル)が存在し、他院にて再根管治療中であった。ファイバーコアを外したであろう跡はオーバーカットされており、歯質が極めて薄くなっている(赤⇒)。歯根破折やパーフォレーションのリスクが高い。

初診時CT画像。両側中切歯の根尖部に根尖病巣を認める(黄⇒)。左側(向かって右)中切歯の根管充填は根尖までしっかりと行われている。右側(向かって左)中切歯は根管治療途中であるため、まず右側中切歯の再根管治療を行うこととした。

 

右側(向かって左)中切歯の根管充填後レントゲン。数回根管拡大・洗浄を行ったにもかかわらず、サイナストラクト(フィステル)が消退しなかったため、根管充填を行い外科的歯内療法に移行することとした。左側(向かって右)中切歯は根管充填が良好なため、再根管治療は行わずに外科的歯内療法を行うこととした。

 

 

根尖掻爬術3か月後レントゲンおよびCT。まず、歯根端切除は行わず、根尖掻爬(病巣摘出)のみを行った。左側(向かって右)中切歯の根尖部の黒い透過像は縮小しほぼ治癒している(赤⇒)。右側(向かって左)中切歯の根尖部透過像は改善が見られない。

 

根尖掻爬術6か月後CT。左側(向かって右)中切歯根尖部の透過像は消失し、根尖病巣は完全に治癒している(赤⇒)。右側(向かって左)中切歯の根尖部透過像はやや拡大し、病巣がやや大きくなっていることが窺える(黄⇒)。右側中切歯のみ歯根端切除・逆根管充填を伴った外科的歯内療法を再度行うこととした。

 

歯根端切除・逆根管充填3か月後。右側(向かって左)中切歯の根尖を3㎜切除し、MTAセメントにて逆根管充填を行た。根尖部の黒い透過像はまだ存在し、骨の再生は不十分。さらに経過観察を続けていく。

 

 

歯根端切除・逆根管充填10か月後レントゲンおよびCT画像。根尖部の黒い透過像が消失し、骨が完全に再生し治癒している(黄⇒)。根尖掻爬だけでは治癒しない根尖病巣が存在している。

 

ポストコアの長さや太さは、再根管治療を行うか否かを決定する際の重要なファクターの一つです。

コアを外す際に歯根破折を起こしたり、削り過ぎにより歯根が薄く脆弱になる或いはパーフォレーション(穿孔)を生じるリスクがあります。

根尖病巣がある歯を再根管治療を行うのか、それとも外科的歯内療法(歯根端切除術および根尖掻爬)を行うのか、正しく診断することが治療を成功させるために重要となるのです。

 

治療費:精密根管治療¥77,000/前歯1歯

根尖掻爬術¥22,000

歯根端切除術・逆根管充填¥88,000

治療期間:1年

治療上のリスク:外科的歯内療法では、術後一時的に疼痛や腫脹、内出血などを生じることがあります。

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上顎前突(出っ歯)の改善には、下顎前歯の治療が必須!~オールセラミッククラウンと部分矯正による上顎前突改善例~

上顎前突(出っ歯)の方は、下顎前歯に問題を抱えているケースが多いです。

このような場合、上顎の前歯だけを後方に引っ込めることは出来ません。

下顎の前歯が上顎の前歯の裏側に強く噛みこんでいるためです。

上顎前突(出っ歯)を改善するためには、まず下顎の前歯の不正を改善する必要があります。

 

初診時口腔内。右側下顎臼歯部(向かって左)は欠損しており、上顎前歯の前突を認める。下顎前歯部はクラウディング(叢生)を呈している。全顎的な治療が必要なケース。

 

治療後口腔内。右側下顎臼歯部はインプラントにて欠損補綴を行った。下顎前歯部はクラウディングの改善のためMTM(部分矯正)を行っている。下顎前歯の歯列が改善したことにより、上顎前歯の前突(出っ歯)が解消されてことが分かる。

 

歯並びを改善する場合、基本的には上顎だけ或いは下顎だけを治療することは難しいことが多いです。

これは、上下の歯列で噛み合わせを構成しているためで、どちらか一方だけを治すと、上下の噛み合わせのバランスが崩れてしまうためです。

上顎前突を治す場合には、基本的に下顎の歯列も治療をする必要があります。

無理に上顎だけで治療を行うと、歯に負担がかかって、被せ物の脱離や破損、歯根破折の原因となります。

治療を行う際には、口腔内全体のバランスを考えた治療計画を考えることが重要なのです。

 

治療費:オールセラミッククラウン/ゴールドクラウン¥132,000/1歯

セラミックインレー/ゴールドインレー¥66,000/1歯

インプラント¥440,000/1本

MTM(部分矯正)¥550,000

治療期間:2年

治療上のリスク:セラミッククラウンは硬いものを食べると欠けることがあります。術後のメンテナンスを怠ると虫歯、歯周病、インプラント周囲炎に罹患することがあります。

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オールセラミッククラウンによる歯の変色と歯列不正の改善

歯列不正がある場合、治療法の第一選択は歯列矯正です。

健康な歯を削って歯並びをきれいにするセラミック矯正もありますが、健康な歯を削ると将来虫歯や破折を生じるリスクが高くなります。

しかし、すでに歯髄(しずい:歯の神経)が取ってあり、歯の色や歯並びに問題がある場合には、セラミッククラウンによる改善が有効です。

 

治療前口腔内。上顎中切歯の変色および歯並びの改善を希望して来院。左右の中切歯はすでに根管治療がしてあり、茶褐色の変色および舌側(内側)への傾斜ならびに捻転(ねんてん:捻じれ)を認める。オールセラミッククラウンによって、変色と歯列不正の改善を図ることとした。

 

治療後。長年の悩みであった歯の変色及び歯列不正が改善した。上顎前歯部の審美性は、しばしば顔の表情さえも劇的に変化させる。

的確に歯肉圧排ならびに印象採得を行うことによって、非常に適合の良いオールセラミッククラウンが装着された。歯肉との調和も良くとれている。

 

治療計画を立てる際は、最も歯への侵襲が少なく歯が長く持つ方法を検討します。

歯の色や歯並びがきれいになったとしても、治療を行うことで歯の寿命が短くなるような治療計画は得策ではありません。

治療によっては、メリットだけではなくデメリットが存在することがあります。

治療前に担当の先生とよくご相談され、ご自身にとって最適な治療をお受けになることをお勧めいたします。

治療費用:オールセラミッククラウン¥132,000/1歯

治療期間:3週間

治療上のリスク:失活歯(神経の無い歯)やセラミッククラウンは硬いものを噛むと欠けるリスクがあります。

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