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カテゴリ: コラム

変色歯の審美治療~オールセラミッククラウンによる審美修復~

神経の無くなった歯は、徐々に変色を起こし、しばしば審美的な問題を引き起こします。

特に前歯部では、歯の左右の対称性を失い、見た目の違和感を訴える方が少なくありません。

このような場合、治療の方法としては

  1. セラミッククラウンによる審美修復
  2. 歯の漂白(ウォーキングブリーチ)

のいずれかの選択になります。

 

歯の形態が残っており、変色の程度が強くない場合には、ウォーキングブリーチでも十分に審美性の回復が可能です。

しかしながら、歯があまり残っていない、あるいは薄くなってしまっている場合には、セラミッククラウンによる審美修復が妥当であると思われます。

歯が薄い場合には、噛む力で割れてしまう可能性が高いためです。

 

右側上顎中切歯の変色を主訴に来院。患者さんと相談した結果、オールセラミッククラウンにより審美性の改善を行うこととした。

 

まず、根管治療を完全に行い、ファイバーコア(土台、支柱)による補強を行う。

 

治療後。オールセラミッククラウンにて形態修復した。色、形とも自然な感じに仕上がっている。

 

歯の治療の方法は、状況によりいくつかの方法が考えられます。

そして、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

最終的には、歯や噛み合わせの状態、患者さんの希望を総合的に判断して治療法を決定すると良いでしょう。

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前歯の埋伏歯の矯正治療法

上顎の前歯、特に犬歯が正常に萌出できずに、顎骨の中に埋伏してしまうケースが時々あります。

本来萌出すべき歯が埋伏してしまうと、歯の本数が足りなくなるため、歯並びや噛み合わせが悪くなり、審美的にも機能的にも問題を生じてしまいます。

犬歯が埋伏しているケースでは、ほとんどのケースで乳犬歯が残存しており、この乳犬歯は色も形も大きさも永久歯と明らかに異なります。

また、長期的には乳犬歯は動揺してくるため、いずれ抜歯が必要になるでしょう。

まだ年齢が若いのであれば、埋伏している犬歯を矯正治療で動かし、歯列の中にきちんと並べることができる可能性があるので、治療する価値は十分にあります。

 

埋まっている犬歯を開窓し、矯正装置を付けたところ(矢印)。ゴムをかけ唇側に牽引していく。

 

かなり唇側に動いているのが分かる。埋まっている歯を動かす場合、歯の向きや傾きが分かり難いので、定期的にレントゲンを撮影し、牽引する方向を確認しながら治療を進めていく。

 

埋伏していた犬歯はほぼ歯列の中に入っているのが分かる。ここまで動けば、あとは通常の歯列矯正で動かすことが可能となる。

 

埋伏歯は、埋まっている深さや向き、年齢や性別によって、動きやすさがまったく異なります。

基本的に、若ければ若いほど骨が柔らかく、動かしやすい傾向にあります。

まずはCTによる診査を行い、埋伏歯を動かせるかどうかを診断する必要があるでしょう。

詳しくは、担当の先生にご相談してみましょう。

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オープンバイト(開咬)の矯正治療~詳解!矯正用インプラントを使用した非抜歯開咬治療~

オープンバイト(開咬:かいこう)とは、奥歯で噛んだ時に、前歯が全く嚙み合わない歯列不正のことを指します。

原因はいろいろ考えられますが、先天的な骨格の異常や、幼少期の指しゃぶり、舌突出癖、アデノイドや扁桃腺肥大・鼻炎などによる口呼吸を起因としたものなどがあります。

いずれにしても、オープンバイト(開咬)は奥歯でしか噛めないため、様々な不具合を生じます。

  • 審美性が悪い
  • 噛み合わせが悪い
  • 前歯で食べ物を噛めない
  • 顎関節症になりやすい
  • 奥歯の加重負担により、咬合性外傷(歯周病)になりやすい
  • 奥歯が欠けたり、割れたりしやすい
  • 肩こり、首こり、頭痛などの不定愁訴を引き起こしやすい

このように、オープンバイト(開咬)は多くの問題を抱えています。

したがって、オープンバイトを歯列矯正で治療するメリットは非常に大きいと言えます。

 

初診時。奥歯の痛みを主訴に来院。奥歯でしっかりと噛んでいる状態。前歯だけでなく、小臼歯、大臼歯も噛んでいないのが分かる。奥歯に噛み合わせの力が集中してかかるため、咬合性外傷となって痛みを生じている。最後方の第二大臼歯(7番)しか噛んでなく、奥歯が痛くなるのは必然といえる。根本的な解決には矯正治療が必要なケース。

 

下顎にブラケットを装着。下顎第二大臼歯(7番)の挺出(ていしゅつ;伸び出ていること)およびスピー湾曲(調節湾曲;歯列の湾曲のこと)が強いため、これを積極的に改善していく。

 

治療開始2カ月後。レベリングが進んできているが大きな変化はまだ見て取れない。前歯部のスペース(隙間)をエラスティックチェーン(ゴム)で徐々に閉じていく。

 

3か月後。上顎にブラケットを装着し、レベリングを行っていく。下顎には前歯を後方へ引くためのクロージングアーチワイヤーを装着。

 

4か月後。上顎のレベリングを引き続き行う。前歯部の捻転(捻じれ)は徐々に取れてきている。

 

5か月後。上顎舌側にTPA(トランス・パラタル・アーチ)を装着。下顎にはMEAW(マルチループ・エッジワイズ・アーチワイヤー)を装着。前歯部で上下に顎間エラスティックを装着し、臼歯部の圧下(骨の中に入れ込む)を図る。エラスティックをきちんと行わないと、開咬が悪化するので注意。上顎大臼歯の圧下を図るため、上顎臼歯部にプレートタイプの矯正用インプラントを設置する。

 

6か月後。上顎臼歯部に矯正用インプラントを設置。オープンバイトがかなり改善してきているのが分かる。顎間エラスティックの効果は十分に発揮されている。上顎のスペース(空隙)はエラスティックチェーンで閉じていく。

 

7か月後。矯正用インプラントの効果で、オープンバイトはさらに改善しているのが分かる。引き続き、前歯部のスペースも閉じていく。

 

8か月後。左側臼歯部の開咬もかなり改善していているのが分かる。矯正用インプラントによって、上顎臼歯部の圧下と、前歯部のリトラクション(後方移動)を同時に行っていく。

 

 

9か月後。上下ともに、前歯部のリトラクション(後方移動)が進み、スペースがかなり閉じてきているのが分かる。

 

10か月後。上顎にクロージングアーチワイヤーを装着し、前歯部のリトラクション(後方移動)を積極的に進める。

 

11か月後。オープンバイトがかなり改善し、前歯部が噛んできているのが分かる。上顎前歯のリトラクションをさらに進める。

 

12か月後。下顎の強いスピー湾曲が改善したため、MEAWからクロージングアーチワイヤーに変更。上下とも前歯部のリトラクションを進める。

 

13か月後。引き続き、前歯部のリトラクションを進める。

 

 

14か月後。下顎の前歯部のスペースは完全に閉じた。上顎のTPA(トランス・パラタル・アーチ)を外し、臼歯部の咬合関係を緊密に噛ませていく。

 

15か月後。上顎は引き続き前歯のリトラクションを行う。

 

17か月後。正中(歯列の真ん中)を修正するために、上顎前歯部を左側(向かって右)に引いている。小臼歯部の咬合を緊密にするためにワイヤーベンディング(ワイヤーを曲げて調整すること)を行い、咬合の微修正を加えていく。左側臼歯部(向かって右)はさらに噛み込んできているのが分かる。

 

19か月後。ワイヤーベンディングの効果で、さらに咬合が緊密になってきているのが分かる。

 

21か月後。オープンバイトは改善し、緊密な咬合関係が得られているのが分かる。前歯部のスペースをさらに緊密に閉じていく。

 

22か月後。上顎前歯部のスペースを完全に閉じるため、再度クロージングアーチワイヤーを装着。

 

23か月後。下顎小臼歯部のブラケットを定位置に付け替え、ストレートワイヤーに交換。歯列の微調整を行う。

 

24か月後。上顎に残るわずかなスペースを閉じるため、ワイヤー調整を行う。

 

治療後。オープンバイト(開咬)は改善し、左右ともにしっかりと緊密に噛んでいるのが分かる。上下の前歯部にあったスペースも完全に閉じている。初診時にあった奥歯の痛みは完全に消失し、何でもしっかりと噛むことが出来るようになった。前歯部が噛み合うことで、発音も明瞭になった。肩こり、首こり、頭痛などの不定愁訴も消失。

 

オープンバイト(開咬)は、審美的にも機能的にも、さらに健康上極めて不利益が大きい歯列不正です。

顎間エラスティックだけでの改善では、後戻りもしやすい歯列不正でもあります。

オープンバイトは、非抜歯矯正よりも抜歯矯正のほうが前歯部の被蓋(ひがい;重なり)を深くできるため後戻りは起こりにくいです。

非抜歯矯正であっても、矯正用インプラントを併用して前歯部の被蓋を深くすることができれば、後戻りのリスクは少なくなります。

また、後戻りを防ぐためには、舌の悪習癖や口呼吸の改善、噛み締めなどのMFT(筋機能訓練)なども有効でしょう。

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上顎の埋伏した親知らずを矯正治療で移動する治療法

現代人は顎の骨が細くて奥行きが無く、歯も大型化しているために、親知らずが正常に萌出することが出来なくなっています。

多くの症例では、親知らずがきちんと磨けないために、虫歯になったり、歯茎が腫れたりして痛むようになります。

また、親知らずを残しておくことで、手前の第二大臼歯(7番)が虫歯になったり、押されて歯並びが悪くなることが多々あります。

 

第二大臼歯(7番)の遠心(後ろ、奥側)が虫歯になると非常に厄介です。

この場所は治療器具が入らないため、この部位が虫歯になると、歯の神経を取らざるを得なくなります。

歯は、歯の神経が残っていることで長持ちするのです。

もし、歯の神経を取ることになると、歯が割れたりひびが入ったり、根の先に膿を持ったり(根尖病巣という)し、抜歯になるリスクが大幅に増えてしまいます。

したがって、通常役に立たない親知らずは早めに抜歯すべきといえます。

 

しかしながら、親知らずの手前の第二大臼歯(7番)が虫歯や歯根破折、根尖病巣などで保存不可能になった場合、条件によっては奥にある親知らずを活用できることがあります。

初診時レントゲン。上顎第二大臼歯(7番、赤矢印)が大きな虫歯になり、他院で根管治療したものの、保存不可能と診断され抜歯を宣告されたため、当院に来院。歯の向きが悪く(奥側を向いている)、ファイル(根管治療の器具)の破折もあるため、治療は難しいと診断した。第二大臼歯の奥側には、親知らず(黄矢印)が斜めにぶつけっているのが分かる。CT診査にて、親知らずを矯正力で引っ張ることが出来ると判断。第二大臼歯抜歯後、矯正治療で親知らずを動かして活用することとした。

 

第二大臼歯(7番)抜歯後。親知らずを下前方に動かすため(矢印)、上顎の歯にワイヤーや装置を装着する。

 

矯正開始40日後。かなり下前方に移動しているのが分かる。さらに下前方に親知らずを引っ張っるためブラケットとワイヤーを装着する。

 

矯正開始130日後。ほぼ下方に引き終わっている。引き続き親知らずを前方に引っ張っていく。

 

矯正治療後。矯正期間190日。抜歯した第二大臼歯(7番)の部位に、親知らずの移動が完了した。後戻り防止のためワイヤーで保定を行う。

 

親知らずを矯正治療で動かすことが出来るか否かは、様々な条件によって異なります。

親知らずの位置や傾き、骨の硬さ、埋まっている深さ、歯と骨の癒合の有無、対合歯とのクリアランス(下の歯との隙間)、年齢(若いほうが動きやすい)、性別(骨の柔らかい女性の方が動きやすい)などを総合的に判断する必要があります。

これらの条件が良くてはじめて、矯正治療で親知らずを動かすことが可能になるのです。

まずは、CT撮影による診査が必ず必要になるでしょう。

詳しくお知りになりたい方は、担当の先生にご相談すると良いでしょう。

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矯正治療の補助装置①~トランスパラタルアーチ~

矯正治療では、歯の表面に接着してワイヤーを装着するブラケット以外にも、様々な補助的な装置が存在します。

その代表的なものが、トランスパラタルアーチです。

トランスパラタルアーチは、上顎の大臼歯部の舌側に装着する装置の一種で、主に左右の奥歯の加強固定、近心移動の防止、歯列の側方拡大などを目的として装着します。

 

上顎第一大臼歯の舌側に装着されたトランスパラタルアーチ。左右の大臼歯の固定のために使用。

 

このトランスパラタルアーチは、小臼歯の抜歯症例でよく使われます。

小臼歯を抜歯するケースでは、大臼歯を固定源(アンカー)として前歯を舌側(内側)に動かしていきますが、このとき固定源である大臼歯そのものも前方に移動を起こしてしまいます。

固定源が動くことをある程度許容する場合には、このパラタルアーチはとても有効な装置です。

舌感などに違和感を感じやすい方は、矯正用インプラントを使用することも可能です。

詳しくは担当の先生にご相談すると良いでしょう。

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オールセラミックブリッジによる前歯の審美修復(ブラックマージンによる審美障害)

前歯に差し歯を入れていて、見た目の悪さを訴えて来院する方は少なくありません。

特に保険の差し歯は不適合なことが多く、白い部分の材質がレジン(プラスチック)であるため経年劣化を起こし変色してしまうからです。

金属を使用したブリッジでは、歯茎の退縮によってブリッジの縁(マージンという)が歯茎から露出して黒くなるブラックマージンを生じます。

これによって、ブリッジが作り物であることが誰の目から見ても明らかとなってしまうのです。

 

治療前正面。左側上顎前歯部(向かって右)に保険のブリッジが装着してある。白い部分がレジン(プラスチック)であるため、色合いや質感が自分の歯とは合っていない。歯茎は退縮し、被せ物と歯茎の間に黒いブラックマージンが生じている。明らかに口元の調和を乱している。

 

治療前右側面観。装着してあるブリッジは前方への前突が強く、長さも若干長いのが分かる。

 

治療前左側面観。歯茎の退縮によりブリッジの不適合が明らか。保険の差し歯は精密性に欠け、適合が非常に悪い。

 

治療後正面観。再根管治療を精密に行い、オールセラミックによる再治療を行った。自分の歯の色味はグラデーションが強く、色合わせが非常に難しいケース。色、形態ともに自分の歯と調和し、審美性が回復された。歯茎との調和もとれ、明るく美しい口元になった。

 

治療後右側面観。ブリッジの前突感や長さの不調和が改善されいるのが分かる。

 

治療後左側面観。ぴったりと適合良く装着された差し歯は、歯茎と調和し、炎症を惹起しない。自然な仕上がりになっている。

 

現在の歯の審美修復において、オールセラミックは非常に有用です。

しかしながら、それを使いこなすきちんとした治療計画と技術がとても重要なのです。

作った歯を永く良い状態に保つためには、歯周病治療、根管治療、精密な型取り、噛み合わせ調整など、すべての手順・手技において妥協を排した精密な治療が求められます。

また、毎日のブラッシングやフロッシング(糸ようじ)などのセルフケア、そして定期的な検診も欠かせません。

これらを包括的に行うことで、より良い結果が得られるのです。

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日付:  カテゴリ:コラム, 審美歯科

定期的に歯医者に行かないと、歯石が溜まって歯周病になる!~痛くなる前の予防が重要!~

毎日、丁寧に歯磨きをしているようでも、実は磨き残しは出来ます。

特に、歯と歯の間には磨き残しが多くなりがちです。

舌の下には、舌下小丘と呼ばれる唾液腺の出口があります。

唾液の中にはカルシウムなどのミネラルがあり、磨き残しがあるとそこにミネラルが沈着して、硬い歯石となります。

このため、お口の中でも特に下顎前歯部の裏側には歯石が付着しやすいのです。

 

下顎前歯の裏側に溜まった多量の歯石。歯石は硬いため、歯磨きでは取り除くことが出来ない。歯石を取らずに放置しておくと、歯肉が炎症を起こし、やがて歯槽骨が溶け、歯周病が進行していく。出血や口臭の原因にもなる。

 

スケーリング(歯石除去)後。歯の概形が露わになった。歯石の影響で歯茎が炎症を起こしており、腫れと出血を認める。歯石を取り除いた後、ブラッシングを丁寧に行えば、歯茎の炎症は治まり、出血もなくなる。歯石除去は歯周病予防の基本となる。

 

歯周病は、初期には出血程度の症状しかないため、発見が遅れがちです。

歯茎の腫れや痛み、歯のぐらつきなどが起こってからでは手遅れになります。

特にお困りのところが無くても、定期的な検診と予防処置は、ご自身の歯を長持ちさせるためにとても重要です。

ぜひ定期検診を受け、一生自分の歯で食べられるように一緒に予防に取り組みましょう!

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日付:  カテゴリ:コラム, 予防歯科

歯髄壊死を放置すると、大きな根尖病巣に発展する!~歯髄壊死の治療はお早めに!~

大きな虫歯が出来ると、冷たいものや熱いものがしみたり、痛みを生じるようになります。

この状態を放置すると、歯髄(歯の神経)に細菌感染が生じ、やがて歯髄の活性が失われて壊死(えし:死んで)していきます。

歯髄が壊死すると、壊死物質やバクテリアが歯根の先端から漏れ出して、やがて歯槽骨を溶かして根尖病巣を形成していきます。

最初は小さな根尖病巣でも、時間が経つにつれ徐々に大きくなり、やがて難治性に発展します。

 

初診時レントゲン。歯冠部にコンポジットレジンによる大きなレントゲン不透過像(白い像)を認め、根尖部(歯根の先端)には根尖病巣によるレントゲン透過像(黒い像)を認める(矢印)。

 

根管内にファイルを挿入し、歯根の方向と長さを確認する。根尖病巣がかなり大きかったため、頻回の根管洗浄・消毒にも関わらず排膿が止まらず、歯茎の腫れや痛みを何度も繰り返した。

 

根管充填時レントゲン。根尖まで白い薬が緊密に充填されているのが分かる。痛みや違和感、排膿の消失に6か月もの長期間を要した。病状が悪くなってからの治療には、一般的に長期間を要するようになる。

 

根管治療5か月後。根尖部のレントゲン透過像(黒い像)がかなり縮小しており、治癒が進んでいることが分かる(矢印)。

 

初診時CT画像。根尖部に大きな黒いCT透過像を認める(矢印)。透過像は歯槽骨の破壊の大きさを示しており、親指の爪の大きさにも匹敵している。正確な診査・診断には、やはりCT撮影は欠かすことが出来ない。

 

治療5か月後。根尖部の黒いCT透過像が著しく縮小していることが分かる(矢印)。適切に根管治療が行われれば、難治性の根尖病巣であっても、破壊された歯槽骨は再生してくることが分かる。適切な根管治療を行うことが、歯の寿命を延ばし、抜歯のリスクを回避するために極めて重要となる。

 

歯髄壊死を生じた場合には、早期に適切な治療を受ける必要があります。

放置すると、歯の変色が酷くなるだけでなく、根尖病巣が大型化し難治性となって抜歯へと至ります。

歯を失わないためにも、早期発見・早期治療は重要なのです。

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日付:  カテゴリ:コラム, 根管治療

歯髄壊死による歯の変色と根尖病巣~歯の変色は歯髄壊死のサイン~

深い虫歯の治療や、歯の外傷後、歯の色が変色してくることがあります。

これは、歯の中にある神経(歯髄:しずい)が壊死(えし:死んでしまうこと)してしまい、歯髄組織が腐敗して歯に色素が浸透してしまうことに起因します。

したがって、歯に変色がある場合には、歯の神経が既に取られているか、何らかの異常があると診断できます。

さらに診断を確定するために、レントゲン撮影やCT撮影、電気歯髄診断などを行います。

これらの検査結果を総合的に判断して、歯の神経が生きているか死んでいるかを診断します。

 

初診時口腔内。右側前歯(向かって左)の変色を主訴に来院。外傷の既往があり、歯の先端部の半分くらいにコンポジットレジンによる大きな充填を認める。このような場合、問診と視診だけで歯髄壊死があると推察できる。セラミッククラウンによる審美治療が適応だが、まずは根管治療が必要と考えられる。

 

初診時レントゲン。歯根の先端部に、骨の吸収像である大きな黒いレントゲン透過像を認める。歯髄壊死から継発した根尖病巣(慢性根尖性歯周炎)と診断した。歯を温存するために、まずは根管治療をしっかりと行う必要がある。

 

根管治療中レントゲン。ファイルを挿入し、根管の走行と長さを確認する。

 

根管治療後レントゲン。歯根の先端まで、白い薬が緊密に隙間なくしっかりと詰まっているのが分かる。このような治療の状態であれば、安心して被せ物を作っていくことが出来る。ここがきちんと治療できていないと、後で歯槽骨の破壊が進行し、歯茎が腫れたり痛みを生じて、歯を失う原因になる。

 

治療後。オールセラミッククラウンによる補綴処置(被せること)を行った。左右で色も合い、歯肉との調和もとれ、きれいな口元になった。

 

患者さんの希望により、左右の色、形態を合わせるよう、キャラクタライズを行った。

 

患者さんの主訴が歯の色の改善であっても、現在抱えている問題点をすべて洗い出し、的確な診査・診断をし、適切な治療を行うことが、歯を良い状態で永く保つのにとても重要です。

木を見て森を見ない治療では、すぐに治療のやり直しになったり、歯を失ったりすることになります。

特に医療は、木も森も見ることがとても大切なのです。

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差し歯のブラックマージンをオールセラミッククラウンで審美的に!

差し歯を装着して何年も経つと、歯茎が痩せて下がるため、歯と歯茎の境目が黒くなる「ブラックマージン」を生じるようになります。

差し歯になっている歯の多くは、歯の神経がすでに取ってあることが多いです。

歯は、神経を取ると強度が弱くなると同時に、歯の色が暗く変色してきます。

また、歯の内部に使用する土台(コア)が金属の場合には、金属イオンが溶けだし、歯根の色を黒く変色することもあります。

いずれにしても、歯の神経が無くなると、歯は暗く変色をしてしまうのです。

最近では、前歯部の審美的な修復には、オールセラミックが使われることがほとんどですが、保険の差し歯などではまだ金属を使用したものも使用されています。

差し歯に金属が使用されていると、口の中に光が入った際に、金属の影響で差し歯の付け根が黒く見えます。

これらを解決するためには、歯根の中に入れるコア(土台)を金属ではなく、ファイバーの物にし、被せ物をオールセラミックにすることが有効です。

 

他にも、歯と被せ物の適合精度が悪いと、歯茎が炎症を起こし暗紫色になります。

したがって、歯型を採る際に歯肉圧排やシリコン印象材などを使用した精密印象を行い、歯と被せ物の適合を精密に行うことが、差し歯の審美性と歯茎の健康を維持させるためにはとても重要です。

 

初診時口腔内。左側(向かって右)の差し歯の審美的改善を希望して来院。色の不一致とブラックマージン(歯と歯茎の境目の黒ずみ)によって、口元の審美性が失われている。

 

治療後。根管治療を完全なものにやり替え、ファイバーコアとオールセラミッククラウンで再度補綴(ほてつ:被せること)しなおした。左右で歯の色が一致し、歯茎にの黒ずみも改善しているのがわかる。精密な被せ物を製作するには、型取りの際に歯肉圧排とシリコン印象が必須。

 

差し歯が審美的であっても、歯根の中の根管治療の状態が悪いと、せっかく入れた差し歯を将来壊して再治療が必要になってしまいます。

したがって、審美性の高い差し歯を維持させるためには、一連の処置のすべてにおいて妥協を排した治療を行う必要があるのです。

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